第72話 大豆活用法

 先日の大豆指南書を元にいろいろと醸造所に指示を出した。

 大豆と言えば元日本人にとっては醤油、味噌、豆乳、豆腐、納豆、大豆油、もやしや枝豆と多岐に渡る食材だ。数多のラノベ転生者が苦心して作ったことであろうな。俺も喜んで仲間入りさせて頂こう。


 指南書の文字は日本語だ。直接は読めないから翻訳したものをブルーさんに手渡した。

「なるほど‥‥‥、これはまた面白そうですね」

「オレも手伝うぜ」

 ブランも手伝ってくれるらしい、助かる。


 指南書を翻訳したから俺が指示を出すまでも無い、あとは二人の感覚でやってくれたら良いものが出来るはずだ。任せよう。



「エドガー様、ちょっとよろしいですか?」

 久しぶりに村長に呼ばれた。なんだろうか?


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「メッサーラ‥‥‥領都で病が流行っているそうです。この村は大丈夫でしょうか?」

 流行り病‥‥‥こっちの世界にもあるのか。


 細菌やウィルスが原因なら対応策はわかるけど。異世界だし呪いが原因とかだったら俺ではどうしようもないけどな。


「その流行り病はどんな症状なのかわかりますか?」

「主に小さい子供が罹りやすいようで。とにかく熱が出てあとは頭痛や吐き気とかがあるみたいですが‥‥‥」


 聞いた限りでは前世でいうウィルス性の感染症に近い症状だな。とりあえず原因はウィルスだと仮定して予防対策をするか。


 この村は流刑地だけあって人の行き来は元々は少なかった。だが要塞化してから人も物も行き来が増えてきた。


「絶対では無いですが対策は取れます。いろいろやりましょう。また人をお借りしますね」



 ウィルス性の感染症の予防にはとにかく手洗いとマスクと消毒だ。


 特に重要なのが手洗い。手についたウィルスが他のものを触って伝播して感染、それを無制限に繰り返していくのが流行り病なのだから。


 とにかく手洗い。これを機会にこの村の衛生レベルを上げてやる。


 手洗いに大切なのが石鹸だ。灰と油でも作れるはずだ。

 でも石鹸を使った手洗いの習慣をつけさせないといけない。


 この村は水で手を洗う習慣は割とある。ただ石鹸を使うことはほぼ無い。


「うーん、どうしたらその習慣が根付くでしょうか?」

「最初に石鹸を配るのは良いとしてもな‥‥‥」


 ふと外を見ると子供達が遊んでいた。感染したらこうした光景も見られなくなってしまうな。


「‥‥‥エドガー様、もしかして一緒に遊びたいのですか?」

「いや、違う。俺を何歳だと思ったん‥‥‥って俺は12歳か。ははっ、あんまり変わらんな」


 ティナはそっち方面の心配をしてるのか?


「いかに天才といえども同世代の子を見ると寂しいのかと思いまして」

「心配してくれて済まないな。そうじゃない。あの子達がああいう風に遊べなくなったらイヤだなぁって思ってな」


 子供達はこっちを少しみて追いかけっこをしている。向こうではおもちゃの取り合いをしてるのか? 仲良くしろよ‥‥‥。


!!


「それは‥‥‥失礼致しました」

「いや、いい。むしろありがとう。あの子達が遊んでいるのをみて方法を思いついたぞ」

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