第70話 ダンジョンボス

「おそらくこの先にボスモンスターがいる。ここから先も更に続くようなら一度引き返してもいいだろう」

 そうだな、その場合は一度戻って立て直した方がいいだろう。


 そして俺たちはボスモンスターがいるであろう部屋に入った。


「‥‥‥アレがボスモンスターか?」

 岩で出来た動く人形‥‥‥ゴーレムだ。ウロウロと歩いている。


「随分とスムーズに歩くもんだなぁ‥‥‥」

「‥‥‥厄介だな。剣もその銃という武器も効きにくいだろう」

 セリスは戦況を冷静に分析する、さすがだな。

 だがしかし、一つ把握出来ていないようだ。

 俺の武器、魔法拳銃改め『岩穿ち』の存在を知らないからな。


「ここはまず俺にやらせてくれ」

 近未来的デザインの拳銃、岩穿ちをスチャッと構えて狙いを定め‥‥‥引き金を引く。


ビッッ!!!!


 銃口からは光の筋が放たれたように見え、光弾の当たった先のゴーレムには真ん丸い穴が開いていた。


ビッッ!!!!


 念の為もう一度放つ。同じようにもう一ヶ所穴が開いた。


「‥‥‥すごい!」

 隣で見ていたフルルが思わず呟く。


 ゴーレムは動かなくなったが倒せたのだろうか?


「‥‥‥やりましたか!?」

 おいティナ、やめろ。フラグを立てるな。


 ゴーレムはぐらぐらと揺れ始め、そして倒れた。その後もやはり動かない。


「倒せたみたいだな? 良かった‥‥‥」

「いや、良かった‥‥‥じゃないよ! なんで一撃で倒せるんだよ!?」

 セリスに怒られた。


「いや、一撃じゃないぞ、二発撃ったから‥‥‥」

「そういう問題じゃない!! なんなんだ、その武器は!?」

 再度怒られた。解せぬ。


「いや、そんな事よりもだ。さっきの完璧な二足歩行を見たか? どうやって動いているのか調べてみようじゃないか!」


「エドガー様、お手伝いします」

 ティナはバラけてしまったゴーレムの腕を拾ってきてくれた。早速関節部を見てみる。


「‥‥‥なるほど、複層魔法陣か!」

「な、何をしてるんだ? ダンジョンのボスを倒したんだぞ?」


「え? なんかあるんだっけ?」

「お宝を探すんだろうが!! 何をしにこんなとこまでやって来たと思ってるんだ!?」

 セリスにまた怒られた。


「あぁ、そっか。魔導書や魔法陣の類があったら見せてくれ。そっちは任せた」

 いまはこっちの方が忙しいからな。ゴーレムを動かす魔法陣なんて初めて見たし。


「じゃああっちはフルルが見繕って来ます」

「頼んだ」


「やれやれ‥‥‥、ダンジョン踏破したのにそっちのけかよ」

 セリスと三人はため息を吐いた。

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