第57話 魔法拳銃完成

「坊よ、出来てるぞい」

 期日の朝、待ち遠しくてロキソの工房を訪ねた。


「ありがとう!! ロキソ、これかい?」

「あぁ、試してみろ」


 早速裏庭の射撃場へ。


「かっけぇ!! そして軽い!!」

 見た目はSF映画で出てくるようなデザイン。

 重さもミスリルで作ってもらったのでおもちゃくらいの重さだ。これなら俺でも持てる。


「グリップにセーフティをつけた。握らねば発射されん」

 コルトガバメントのようにグリップセーフティがある。しっかりと握る必要がある。


「魔力はどこから充填するんだ?」

「グリップエンドにあたる部分に触れるだけで充填されとる。一度触れて満タンにすれば12発撃てる」


 触れるとサイドの小さいランプが赤く点滅する。魔力が吸われてしばらくするとランプが緑点灯に変わる。魔力満タンになったようだ。俺としてはあまり減ってる気はしないけど。


「撃ってみよう。あの岩にしよう」

 適当な岩に照準を合わせる。


ビッ!!!!

 

 反動はほとんどない。銃声も小さい。軽いから照準合わせも楽だ。

 岩には穴が空いていた。実弾ではこうはいかないな。


 俺は腰のベルトにホルスターを装着し、そこに魔法拳銃をしまった。


「要望通りだ!! ありがとう、ロキソ」

「ふむ‥‥‥酒作りの方はどうじゃ、進捗は?」


「ブルーさんがしっかり管理してくれてるから大丈夫だよ。あとひと月でこの世にまだないオリザ酒が飲めるさ」

「ほう、それは良い。それで『火酒』の方は?」

 やっぱりそっちが気になるのか。


「今どうするか迷っていてな。蒸留所自体はもう出来ているんだが‥‥‥」

 蒸留所は醸造所の隣。どちらもザルトが張り切って作ってくれた。


「何を迷う事があるんじゃ?」

「まず何を蒸留しようかと思ってな。ワインもエールも普通の量しか作れてないからさ。あとは人選」

 ブルーさんはそっちもやりますと言っていたけど。ブルーさんの本業はあくまで『醸造』 蒸留はまた勝手が違う。


「そういえば村長がまた人が送られてくると言っておったぞ。行ってみたらどうじゃ?」

「お、それは良い話だ。行ってみる!!」


「早う蒸留所を稼働させるんじゃぞ!」

「わかってるよ」


 村長宅を訪れる。

「エドガー様、おはようございます。おや、腰にさしている拳銃はもしかして‥‥‥?」

「村長さん、おはようございます。そうです、さっき受け取ってきました! で、また流刑者が送られてくるんですか?」


「いえ、今朝連絡が来たのは辺境爵様のところから送られてくる方です。流刑者じゃありません」

 

 という事は頼んでおいた人材が見つかったのか?

「熊の獣人のブランさん、スキルは【蒸留】だそうです」


 キタコレ!! ドンピシャの人材だ!!

「早速会いたいです! 今どの辺でしょうか?」

「さっき連絡が来たので到着は明日でしょうな」


 あぁ、待ち遠しいなぁ‥‥‥。

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