第53話 銃の改造

「エドガー、おるかー!? 銃の改造をせんか?」


 ロキソには弟子を取らせた。元マッシュ一派の一人、ガッシュのスキルがロキソと同じ【金属加工】だったからだ。

 ガッシュにはライフルの弾丸をひたすら作らせているとの事。繰り返しの作業こそが大切だそうで。


「わかった、さてどうしようかな‥‥‥?」

 誰のどんな銃を作ろうか? 


「あの‥‥‥差し支えなければ私の拳銃を追加していただきたく」

 ティナがこう言った事を申し出るのは珍しい。

 

「今のコレでは大きめのモンスター相手には弾数と威力に不安がありまして‥‥‥もっと強いのがもう一丁あるとありがたいのです」

  

 なるほど、コルトガバメント風だと7発+1発だからな。ちなみに弾倉の方に7発、薬室に1発入った状態をこう表記するらしい。


「じゃあこれを改造してお前に渡そう。俺のお下がりで悪いけど」

 渡したのは俺が一応持っていたリボルバータイプの拳銃。


「そんな‥‥‥エドガー様のお下がりなんて!! もったいなくて使えません! すぐにコレクションに‥‥‥!!」

「やめい! ちゃんと使ってくれ!」


 すったもんだがあったが俺からの命令という事で使う事になった。

 改造するのはリボルバー。手段を選ばない刑事の映画でめっちゃ有名になった44口径のあのモデル、S&M M29。弾ももちろん.44マグナム仕様。


「ほほう、こんな弾丸もあるんじゃの。どうせならそっちのもコレが撃てるように作り替えるかの」

 ガバメント風の方も.44マグナム弾が使えるように改造してくれるらしい。魔改造だ。

 

 今までありがとう、45ACP弾丸。


 ちなみに口径としては45の方が当然太い。だが威力は44マグナム弾の方が遥かに上だ。

 何故か? 薬莢の長さ、つまり内包出来る火薬の量(地球では)が違うからだ。


 45ACP弾の薬莢の長さが22.8ミリなのに対してマグナム弾は32.6ミリと約1センチも違う。


「弾倉をいじってグリップもほんの少し伸ばせばもう一発余分に入るようになるじゃろ」

「ありがとう、ロキソ」


 こうして見た目がガバメントモデルのマグナム拳銃が出来た。さすがは異世界、やりたい放題だな。

 いや、やってるのは俺だけどさ。



「じゃあこっちも仕上げちまうとするか。シリンダーももう少し厚めにした方がええな」

 威力が上がるイコール衝撃も反動も大きくなる。薬莢内の爆発に耐えきれずシリンダーが壊れる可能性もあるから強度も大切だ。


 ものの一時間でロキソが戻ってくる。

「ほれ、出来たぞい。そのマグナム弾とやらは20発ほど作ったぞ」


 じゃらっとテーブルに出した弾丸は紛れもなくマグナム弾だった。


「じゃあ早速試射会と行こうか」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る