第49話 テオドールへの帰還
無事撃たれる事もなくテオドール村に帰ってきた。
「おかえりなさい、エドガー様」
「フルル、ただいま。持ち場は大丈夫なのか?」
「どうしてもエドガー様に一番におかえりを言いたくて‥‥‥。今は別の見張りの人と交代してますから大丈夫です」
「そうか、俺がいなかった間の事をいろいろ教えてくれ。とりあえず村長宅へ‥‥‥って村長宅はどうした? どこだ?」
門を潜ってこの要塞の中心にあるのが村長宅‥‥‥のはずがあのボロ家が見当たらない。
代わりに鉄筋コンクリートっぽい建物がそこにあった。
まさかこれが‥‥‥?
「エドガーさん、おかえり。これから村が大きく発展するので今のうちに我が家を建て直してもらいました」
村長が出てきてドヤ顔で説明してくれた。
だいぶ思ってたのと違う‥‥‥。まるでビルのような建物になっていた。
「‥‥‥うんうん!」
(どんなもんだ!)的な顔のザルト。
まぁ住みやすくなるならいいか。
俺も村長に勲章を見せる。
「エドガー・テオドールとしてこの村を統治する準貴族に任命されました。農地開発や城壁などの土地関係がスムーズにいくようにとの事です。村長さんは今まで通りにやってください」
「それではエドガー様とお呼びした方がよろしいですね」
なんかこそばゆいからやめてほしいけど。タメ語で話してるのを見られるのもまずいんだろうな。
「ではエドガー様の叙爵を記念した宴をやりましょう!」
「おお! ええの、やろう! やろう!」
村長もドワーフ達もノリノリだな。飲む理由が欲しいだけだろうよ。
その後、宴が始まり盛り上がって終わった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
翌日、俺とティナは農業試験場にいた。メッサーラの市場で購入したオリザ(米)の検証をするのだ。
「大量に買ったそれ、どうやって食べるんですか?」
「この外側の籾殻を外した中の白い粒が食べるところなんだ」
「もしかして一粒ずつ手で外すんですか?」
「まさか! そんな事してたら餓死しちゃうよ」
籾摺り‥‥‥手作業でやるならすり鉢と軟式野球ボールとかで出来るんだったっけ。機械ならゴムロール式と衝撃式というのがあったはず。
またロキソに作ってもらうか? ゴムの部分はスライムゼリーに魔力を注入したものを使えば似たような感じになるかなぁ。
玄米と籾殻の選別は生活魔法の「送風」でいけるだろ。唐箕を作ってもいいけど。
玄米からの精米は瓶に入れて棒でつくやり方もあるけどそれは手間がかかり過ぎる。圧力をかけた状態で米同士をぶつけて糠を取る摩擦式がいいだろうか。
ふう‥‥‥考える事がたくさんあるなぁ。
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