第28話 襲撃②
「フルル、見張り台に移動してくれ! ジョイ、銃と弾を運んでやってくれ」
「はいっ!」
「あいよ、兄ちゃん!」
フルルが城壁の先端から見張り台に移動する。
見張り台は城壁の内側で城壁より高い。つまり角度がつけられる為狙撃の自由度が上がる。
フルルには他の人に出来ない事をやってもらうからな、特別だ。
「フルル! ゴブリンアーチャーやゴブリンメイジを優先して倒してくれ!」
「わかりました!」
こちらの損害は最低限にしたい。向こうの攻撃法は弓矢か魔法だ。
「みんなは弾が無くなるまで撃ち尽くせ!! ちゃんと狙って撃てよ!」
「「「おぉ!!!」」」
「このクソゴブリン共が!!」
「死に晒せ!!」
「うちの畑に入ってくんじゃねえ!!」
各自自由に撃ち始めた。一番数の多いゴブリンはこれで大丈夫だろう。
俺は指揮を預けて門に近づく。
一体のオークが弾を受けながらも走って門に近づいてきた。その陰に隠れてゴブリンも数体。
外門は開けてある。
オークは急所に当たらなければライフル弾一発二発じゃ死なないらしい。
門内に入ってきたが、内門が閉まっている事に気付いたようだ。
ここで罠を発動する。
「魔法陣起動!」
内門に近づき、魔力を流す。魔法陣の文字に触れないと起動出来ないのが欠点だな。だから導火線の様に文字列を内門の中まで延ばしている。
「グワゥワーーー!!!?」
この魔法陣で倒す‥‥‥のではない。敵ですら戦力として利用してしまおうという考えだ。
これは混乱の魔法陣。モンスターは敵味方の区別が付かなくなり、同士討ちが狙える。
混乱したオークとゴブリン達は出て行って他のモンスター達に襲いかかった。
モンスター達は学習しないのかその後も二回同じように混乱させて同士討ちさせてやった。
魔力が予定していた分だけ減ったのでここは終わりだ。
「外門を閉めろ!! よーし、次は‥‥‥」
俺は再び城壁に上がった。
城壁の外側はねずみ返しの様になっており表面はつるつるなのでゴブリン達が登る事はほぼ不可能だ。
フルルがゴブリンアーチャーとゴブリンメイジを殲滅してくれた。
となると次は投石をしてくるだろう。だが奴らがいるのはほとんどが畑だ。うちの住民は真面目だからちゃんと石も拾ってある。
道も土を叩いて固めてある。小石くらいはあるが小さいと城壁までも届かない。
その間もこちらからの攻撃は止まず石を探している間に撃たれている状況だ。
ゴブリンが減って来たのでオークを狙い撃ちに変えた様だ。さすがのオークもライフル弾を10発も喰らえば動けなくなる。
このままなら無事に勝てるかな?
「!! エドガー様! 後続部隊が来ます!」
スコープで戦況を確認していたティナが叫ぶ。
さすがにそう甘くはないか。モンスターの群れ、少なめだったもんな。
「フルル、指揮を取ってそうな奴、いるか?」
「‥‥‥どれかわかりません。なのでそれっぽいのは全部倒します」
本当に頼もしいな。次々と血祭りにあげているらしい。見えないけど。
「エドガー様! ライフルが効かない奴が来ました!」
「フレイムゴーストだろ? 物理攻撃が効かないからな」
銃は紛れもない物理攻撃だからな。でも対策はしてあるよ。
フレイムゴーストは飛べるので城壁まで上がって来てしまう。ただし動きはふわふわとゆっくりだ。
フレイムゴーストに火魔法を当てると吸収してしまう。だから一般的には水魔法、氷魔法で倒す。
この村で水魔法、氷魔法の使い手はいない。
だがこの村の別名は『水神様の愛した土地』だ。
「城壁に置いてあるバケツの水をかけてやれ!!」
フルル曰く水神様の魔力を含んでいるテオドールの美味しい水はさぞ効くことだろう。
「ギィエエエエ!!!!」
フレイムゴースト達の叫び声が木霊した。
後発部隊はこちらを警戒してか、止まっているように見える。
「敵の動きが止まったな。今のうちに半分は飯を食っておけ!! 食ったら交代だ。今のうちに銃弾の補充もしておけ!」
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