第20話 計画

 村長宅に戻って来た。

 ティナはいつも通り家事をしていた。


 俺はティナに近づいて言う。

「ティナ‥‥‥、いつもありがとな」

「!? ど、ど、ど、どうしたんですか!? そ、そんな‥‥‥」


 予想以上にティナには効くらしい。

『感謝』『褒める』という一番楽で簡単、ノーコストでノーリスクの言葉。


「いつも俺がこうしていられるのも全てティナのおかげだよ。いつもありがとな」

 バックハグからの耳元で囁き。


「むほー!!!! 何でもお任せくださいませ、エドガー様!!」

「午前はフルルの射撃をみてやってくれるか? 午後にはまた別のメニューをさせる予定だ」


「わっかりましたー!! 私にお任せください! フルルちゃん、起こして来ます!! 失礼しまーす!!!」

 ティナは走ってフルルの部屋に。

 まだ眠そうなフルルをテンションMAXで起こしているのだろうな。

 

 ごめんな、フルル。でも頑張ってな。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 いつもの村の見回り。地図の再確認も一緒に。


「エドガーくん、おはよう。モンスター達が攻めてくるなんて本当かい?」


「おはようございます、シャディさん。本当言えば来なければ良いと思います。でも来たら?って思って通達しました。シャディさん、家族は大切ですよね?」


「もちろんだ! 家族は何があっても守るよ!」

「そうですよね? ボクもこの村のみんなが家族だと思ってますし、その家族を守るための訓練は必要だと思います。今日からみんなの家族を守るための訓練を始めますから是非参加してくださいね」


「わかったよ。もちろん参加するさ。みんな村の仲間だからな」

「よろしくお願いしまーす」


と草の根活動もしっかりと行った。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「すみません、少しよろしいですか?」

「んー? どうしたの、エドガーくん」


 村の端っこの家、畑の持ち主、フロンさん。この人の家、敷地、畑と俺の計画に掛かってしまっている。事情を説明する。


「うーん、そうだなぁ。この畑や家が城壁やら基地の敷地になったとして、その分の代わりの土地や建物は用意してくれるのかね?」

「それはもちろん。ただ同じ広さ、便利さまでが同じとはお約束は出来ませんが‥‥‥」


「うーん、モンスター達が来るとは限らないんだろ? それに城壁や基地が建てられたら土地を取られっぱなしになるじゃないか。それじゃちょっとね‥‥‥うちだけが大損しそうだしねぇ」

 同じくらいの価値の土地を用意すると約束しているのにこれだとな‥‥‥。仕方ないな、少し計画を変えるか。時間のほうが大事だ。


「わかりました、じゃあ畑のほんの少しだけかかる部分は土地代をお支払い致しますのでそちらだけはご了承下さいね、この書類を読んでサインしてください」


「まぁ! それくらいならね、協力したってみんなに言っといてね」


「ご協力感謝致します」


 このようにしてテオドール外壁計画を進めていった。

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