第19話 警戒体制

 翌朝、ロキソ達の所へ。

「どうした、坊。ずいぶん早いうちから」

「ロキソ。昨日頼んだアレ、どの程度出来ている?」


 ザブザブと顔を洗って拭き布で拭くロキソ。髭がすごいから拭き布がビシャビシャだ。

「ふう、ミスリルは加工に時間がかかるからの。まだ半分も出来とらんよ。追加注文か?」


「大森林のモンスターの群れの話は聞いただろう? そこでこう変えたいんだ。出来るかな?」


「ワシを誰じゃと思うとる。この間任せるって言うたよな? ワシも任しとけと言うた。何故信じぬのだ?」


 俺は心から詫びた。何よりも大切なドワーフの職人としての誇りに傷をつけたのかと‥‥‥。


「‥‥‥済まなかった、ロキソ。絶対に間に合わせてくれよ、当日までには!! じゃ!!」

「‥‥‥おう! なんとか仕上げてみせるわ! ドワーフの誇りに賭けてな!!」


 次はイブとザルト。

「あら、どうしたの? オバさんにも何か頼み事あるのー?」

「おう! イブとザルトに頼みがあってこんな時間に来たんだ!」


「‥‥‥うん!」

 ザルトの目に火が宿ったのが見えた。

 いけそうかな!?


「ザルト、この辺にこう城壁を作って貰いたいんだ。どうかな、任せても良いか?」

 俺のラフ地図を渡して見せた。


 さっきのロキソとのやり取りで学んだ。

「出来るか?」と聞くよりも「任せても良いか?」と聞く方がいい。


「‥‥‥うん!!」

 ザルトがサムズアップして応えてくれた。


「ありがとう! 頼むぞ!! イブ、サポートしてくれ! よろしく!!」

「あいよー!! 任しときな!!」


 ドワーフ達は頼れる、ありがたいな。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 次の場所に来た。

「セリス‥‥‥頼みがあって来た」

「エドガー、大体のことはティナから聞いている。アタシらはどう動くのが良い?」

 

 俺は作戦の粗筋を伝えた。

「‥‥‥なるほど。エドガーがこの村では一番頭が切れるはずだ。お前がそう思ったのならそう指示してくれればいい。アタシらはその通りに動くさ」


 セリスは完全に俺の事を信用してくれている。期待に応えなきゃな!


「ありがとう! この戦いではセリス達がかなり重要な役目になる。危険だが頼んだぞ!」

「!! そんな重要な役目任せてくれてありがとよ。無事に勝ったら浴びるほど飲もうな!」


「俺はまだ飲めないよ」

「そうだった! じゃあケーキでも食べような!」

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