うらのつかさの姫君
さる☆たま
第1話 竹取
いまはむかし、たけとりのおきなといふものありけり――
誰もが知るその物語は、この一文から始まる。
だが、あまりにも有名なその物語に誰も知らない「ある秘密」が隠されてれていたとしたら?
その可能性を検証し、そこから答えを導き出す。
これは、そういうお話。
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「はぁはぁ……」
それは、竹が青々と生い茂る暗い藪の中。
その一角、小さく灯る光の中で「おぎゃあ、おぎゃあ」と泣く声一つ。
「……あ、
初老と思しきその男が
ぽたり、ぽたりと雫が落ちる。
そして――男は赤子を抱いて左右を見渡すと、逃げるように足早に竹藪を駆け抜けていった。
それからしばしの時を経て、宮中を騒がした怪事件が幕を開けた。
貴公子たちはおろか、
名を『なよ竹のかぐや姫』といった——
彼女にまつわる伝説はあまりにも有名である。
言い寄る男たちに無理難題をふっかけては諦めさせ、帝の
そして、月からの遣いが迎えに来ると、涙ながらに育ててくれた両親に別れを告げて、飛び立っていったという。
けれど、これがおとぎ話でないとすればどうでしょう?
月明りが漏れる蔵の中、黒光りする漆の箱。
その蓋を開けると、そこには『
わたくしは、ゆっくりとそれを手に取って封を解いた。
そこに記された、ある『姫君』の記録を——
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