ジンニスタンの舞台を継ぐ、ジンと王奴と呼ばれるもの達の物語。
最強の種族であったジン族がなぜ滅び、その脅威が世界に落とした陰に主人公たちが追われる形で、物語が展開されていく。
序盤から駈け抜けるように戦闘描写が続く中で、世界観や物語の根底にある情報が明らかになっていく様は、非常に緊張感とスピード感がある。
ジンニスタンや幼馴染の自販機、山内くんの呪禁の夏などの多くの書籍化の実績がある作者の新作であり、淡々としながらも起伏に富んだ物語の展開はやはり他とは一線を画すものがある。
ジャンプ漫画作品のような派手さと違って、静かにほとばしる熱さとでも言うような、これこそが小説の楽しさなんだ、と思わせてくれる持ち味の作者である。
長年のファンとしては正直待ちに待った、とでも言うべきファンタジー作品で、今後が楽しみです。
硬派なファンタジーが好きな方は、一読をおすすめします。