第13話 シャペロン
「……なるほど。報復は自分の手で行いたいと? さすがはお姉様ですわ」
なんか変な勘違いをされているけれど。まぁ思いとどまってくれたから別にいいか。
「では、お姉様はこれからいかがなされるのです?」
「とりあえず陛下への手紙を預かったから王都に向かう予定よ」
「その後は? リインレイト公爵家に戻られるのですか?」
な、なんだかグイグイ来るわね? そんなに気になるのかしら?
「どうしましょうかねぇ……。今さら義弟に迷惑を掛けるのも何だし、一生遊べるだけの遺産はもらえたから一人静かに余生を過ごしてもいいんだけど」
「……余生って。20歳で余生って……」
痛そうに頭を手で押さえるミアだった。なぜだかミアに呆れられてしまった。あのミアに呆れられてしまった。
と、馬車の中だというのにミアが勢いよく立ち上がった。
「お姉様ほどの逸材を放っておくなど、大陸――いえ! 人類にとっての損失ですわ!」
大げさすぎじゃない? というかそんな
「お姉様の偉大さを理解できない愚か者の話など、どうでもいいのです」
バッサリと切り捨てられる(元)王太子と次期公爵であった。ざまぁ。
「……あ! そうですわ! お姉様、わたくしのデビュタントの際に『シャペロン』を務めていただけませんか!?」
「え? シャペロン?」
シャペロンとは前世で言うところの介添人であり、デビュタントを迎えたばかりの若い貴族令嬢に付き従い、『この人は○○家の○○様ですよ』とか教えたり、『それはちょっと不作法ですね』と注意したり、『今です! 声をかけてもらえるようアピールするのです!』と恋の助言をしたりするのだ。
「いやいやシャペロンって。なんで私? そういうのは既婚者で、貴族社会のルールに精通していて、貴族の名前に詳しい人がやるものでしょうが」
「お姉様ではないですか」
あー確かに私ってば既婚者で、元王太子の婚約者だから貴族社会の知識豊富だわ。なんということ。シャペロンは普通なら子育てが終わって暇になったご婦人がやるものだというのに……。20歳でシャペロンになるよう要求されるとは……。
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