Beyond Despair

蓮蠱

第1話 恋人未満の約束

「今日はね由香とカフェいったの」

「そうか」

 普段通りに通話をする、高嶺彩音。長い黒髪に、透き通るような青い瞳。細身で清楚な容姿を持つ大学生である。相手は幼馴染の田中 智也。茶色い髪と温和な笑顔が特徴なデスクワークをしている社会人である。

 二人は小、中、高と同じでずっと仲の良い。彩音はとても頭がよく進学校でないにも関わらず難関大学に合格し上京している。今は寮生である。智也は高校を卒業し、地元就職。アパートで一人暮らしをしている。

 二人は誰もが認める最高カップルだった。しかし、二人はまだ付き合っているわけではない。彩音が学力に集中したいからと形だけでも友人としたいと頼んだ。大学を卒業したら付き合うことを約束している。今では遠く離れて互いに生活をしているが、時間の会うときは通話やチャットで会話をし最近の出来事などをはなしている。

「で、そっちにはなれたか?」

「半年だもん。さすがに。でもこっち出身の人たちはすごすぎて圧倒されちゃうな」

「成績の方は?」

 智也が心配しているのはレベルの差である。合格はできたものの、授業のレベルははるかに上がる。合格するまでが大変といわれているが、彩音は合格してからのほうが大変になる。

「こないだ一番だった。それに、提出したレポート褒められたの!」

 好成績だったこと自慢げに話す。

「まじかよ。お前の代は平均値高くないのか」

「違うよ!私が頑張ってるの!」

「だろうな。ほんと努力家はいいですな」

「そっちだってお仕事大変でしょ」

「まじ、資料作成から企画説明。やることが多すぎる。先輩がいい人だからいいが、マジで毎日が大変です」

 逆に智也は仕事に辛さを痛感していた。決して高校の時がダメだったのではない。しかし仕事ででる責任というのはものすごくプレッシャーになっている。

「そっちも大変そうだね」

「お前ほどじゃねーよ」

 二人は互いに支えあっている。きつくてもお互いの声を聴くだけでまた頑張れる。

「ちなみに彩音って正月も帰ってくるのか?」

「うーん。難しいかも。少し年末忙しくてあまり長期的に休めないかも」

 サークルでも学問のほうに参加しており、優秀なことでレベルの高いコンクールに挑戦しないか先生にすすめられていた。

「そっか。なら、しばらく会えそうにないな」

「次は夏休みにある成人式かな」

 二人の地元では夏に成人式がある。つまり彩音の夏休みのタイミングになる。

「そっか。っま頑張れよ」

「当たり前。ともくんもね」

「おう」

 二人は通話をやめた。智也は寝る準備を。彩音は勉強を始めるのであった。

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