第31話 爆姫の行進②
「ふふっ......ふふふっ......ふふふあははははははぁ!! ざまあみろゴミカス共ォ!! 私の! 私の勝ちだ――バアッ!!!!?」
「誰が勝ったって......? まだ死んじゃいねぇぞ......なんなら無傷だ」
爆煙の中から、五体満足のフィン達が現れた。
それを見たプリメーラと爆発させた張本人は驚きで固まっている。
「まぁ、そうだろうなとは思ったけどよ......フィン! 無事か?」
「大丈夫! でも......」
フィンの視線の先には、力無く倒れるあの生物の残骸があった。頭は俺の足元にあって、安らかな表情を覗かせている。
「なぜだ......なぜあの爆発を間近で受けて無傷で立っていられるんだ!! おかしいだろう!!」
ルークは普段俺やその他の人物に消して向けることは無いくらい穏やかな顔で、あの生物の亡骸を撫でながら話す。
「――コイツが首の毛と肉で首輪を包んで......爆発の衝撃が最大限外に出ないようにしてくれたんだ......自分の命を犠牲にな」
「それでも漏れ出た衝撃波はジブンが斬りましたぁ......一瞬の判断だったんで多少“ムラ”は出ましたがねぇ......」
「ガハハハハ! 普段は税金泥棒だなんだと言われても! こういう時に頼りになるのが警備局様なんだよ!!」
ガリア、ルーク、ライの三人......無傷だと言っているが立っているのがやっとだろ......強がりやがって。
「ッ~......!! 化け物がァァァァ!!!! ならば! 私自身の魔法で貴様等を殺してやる!」
魔力が凝縮され、ドリルのような岩石弾が生成されていく。
コイツ!? まだ戦うつもりかよ!! 距離的にも残った体力的にも俺が仕留める!!
「喰らえぇ!! 私の最強魔法―――」
だが......殴り倒すのが間に合ってもコイツの魔法は発動してしまうだろう。三人の誰かが防御する事に賭けるしかない!!
「勝ったァ......あ?」
突如、ギンッ! という音と共に結界が俺と元依頼人の周囲に張られた。射出され、誰か一人の命を確実に奪う予定だった岩石弾はポロポロと崩れていく。
「ふぅ......間に合って良かった。魔力の流れをゼロにする結界......どうトウヤ! 私だってやる時はやるんだからね!」
結界の外で、親指を立てて自慢げなプリメーラが見えた。
「ナイスタイミングだ! さぁて、最後に魔法に頼るって事は、徒手空拳は苦手......って解釈でいいよな?」
今の俺、最高に悪い顔してるだろうなぁ~。
「ひっ......やめて......」
男の怯え顔は微塵も心がなびかなくて助かる。
「やめなぁ~い!」
テメェをぶちのめすには、一発で十分だ。
「ギ......ギャ――ブッ......エ゛ッ」
荒々しい踏み込みから放たれた渾身の一撃は、必死に考え出したであろう防御の腕をへし折りながら顔面に直撃した。
声にならない声をあげながら、男は地に沈んだ。
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