魔竜王の鍛治ダンジョン

シンゴペンギン🐧

第1話 彼は如何にこの世界にきたか


武藤セラ、長身痩躯の黒髪の青年。穏やかな気質で黒髪黒目のゆったりとした22歳の青年だ。


職業はスーパー店員、夜勤の棚卸し要員だ。不景気とはいえ、残業代をきちんと支給してくれるし、売れ残った惣菜をわざわざ買い取って、セラに渡してくれる。


同僚の年上の方達や高齢の方にも良くしてもらっている。


彼は家族というものもなく孤児としてこの世界に生を受けた。幸いにも孤児院を営む院長も良い人だったし、一緒に過ごす人たちもいいひとたちだった。


「だから残念だなあ」


見知った同僚の女性を襲いかかろうとする暴漢のナイフを腹部に受け、明日久々の休日で遊ぼうとした鍛治職人のRPGを思い出しながら、泣き叫ぶ同僚の女性をみながら取り押さえられる暴漢の姿をみて。


「(まあ、同僚さんが大丈夫だったならいいか)」


「(なかなかによい青年のようだね)」


ふと鈴をなるような声が響くと同時に世界は消失した。



「存外、他者に命を賭けて護ろうとする善なる者は少ない、それこそ異界に呼ばれる予定の勇者たる器を護るとは奇縁も奇縁だな」


セラの前に現れた白い空間、白髪の白い白衣の青年はふむと頷く。


「なるほど、自らの運をも他者に分け与える稀有な星であり、欠けた運命も自らの奇跡で補填する者か、そして勇者でもなく魔王でもなく、言うなれば他者を救う力を持った与える者か」


セラは首を傾げながら問いかける。


「あ、あなたは?」


「…紹介がまだだったな、そうだな、武藤セラ、地球とはまた違った世界の創造神ということだな、本来は君との運命は交わることは無かったたが、すまない、こちらの邪神が戯れにそちらから呼ばれる予定の勇者にちょっかいを出したせいで、君の運命に死という確定事項が生まれた


「邪神」


「ああ、まあ余計なことをしたので、丁重に滅ぼしたから、それは問題はない、ないが地球の神にクレームを受けてね、一先ず私の管轄の転生の間に来て貰ったわけだ」


白衣の創造神を名乗った青年はふむと頷く。


「勇者を呼び出すタイミングは未確定ではあるが、私からは出来るならば顔見知りでもあるらしいし、勇者である彼女をサポートしてほしい」


「それはぼくも転生ということですか」


「そうだね、未来の勇者を救うという偉業をなしたんだ、来世に送ることはしないさ、たしかRRGというのか、私の扱う世界にステータスや魔法やレベル等のシステムがある世界があってね、たまたまだが勇者として呼ばれる予定の彼女もそちらにいく予定だ」


青年の言葉にセラはうんと頷くと


「なにか転生特典とかは」


「君の脳内を探って好みにあったものを全てつけるつもりだ」


「まあそれならいいかな」


「脳内を勝手に見たことに関してなにも言わないのかね?」


セラはにこりと笑うと


「わざわざここまで話してくれる神様に悪くおもうことはないですよ、それに僕の好きなRPGをしってくれるなら期待しますよ」


「それは期待していい、ふふ、君は私の予想以上の善人のようだ、是非とも私の世界を楽しんでくれたまえ、なに、使命など無粋なことはしないさ、勇者の手伝いも適度にでいい、君は君の世界を楽しむといい」


「感謝します、神様、あなたの名前は?」


「創造神としか名乗ったことはないね」


「では僕が名をつけても?」


「はは、神に名をつけるか、いいね、素晴らしい、是非とも頼むよ」


セラはにこりと笑う


「では、こちらの言葉でセイクレッドと名を」


「ふむ、よい響きだね、地球では神聖なとか意味かな?」


「ええ」


「ではそのように名乗ろう、良き名を感謝する」


セイクレッドと名を受けた創造神はセラに手を翳し、自分の世界に送ったあと。



「なるほど、与える者か、まさか私にも新たな力が発現するとは思わなかった、素晴らしい、武藤セラ、君の波紋を私は楽しみにしているよ」


セイクレッドはにこやかに笑った。


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