君のヌード写真を僕が撮る~笑顔を見せなくなった美少女幼馴染と、彼女の笑顔を撮れない僕~
TAMA
プロローグ
「もしかして・・・コータ君?」
中学の卒業式の次の日、叔父の営む写真館から父の形見のカメラを持ち帰って来た時のことだ。
僕、
その声を懐かしむと同時に、心に棘が刺さるのを感じながら、怪訝そうに僕は振り返る。
「やっぱり!コータ!」
「わぁ!コタ兄だ!」
そう言って、小走りに駆け寄ってくる二人の美少女
小学校卒業まで幼馴染として、よく遊んでいた二人の少女だった。
おそらく、僕は愛想の良い表情ができなかったんだろう。
「ねぇ、私のこと覚えてるよね・・・?」
スラっと背の高くスタイルの良い姉の方、
「お姉、コタ兄が私たちを忘れる訳ないでしょ?ねぇ、コタ兄♡」
少し背が低く華奢な妹の方、
「ああ、覚えているよ。奏多・・・さんと、凛花・・・ちゃん。だろ?」
「ちょっと・・・『さん』って?」
「そうだよ、コタ兄!あんなにずっと一緒にいたのに、たった3年で私たち、ただの顔見知りになっちゃったの?」
二人は、不満そうに他人行儀な僕の態度を責めた。
「あぁ、ごめんごめん。久しぶりで、距離感わからなくて・・・。それに・・・。」
「それに?」
「いや、なんでもないよ。悪かった。久しぶり。奏多、凛花。」
「そうそう!それでいいんだよぉ、コタ兄ぃ♡」
僕たちの再開は再会ぶりだった。
僕と奏多の小学校卒業と同時に親の仕事の都合で二人は海外へと引っ越していったからだ。
別れの時は、卒業式以上に僕も奏多も目に涙をためて、凛花に至っては行きたくないと泣き喚いていたが、3年で戻れるよと、まだ二人ともいた両方の父になだめられて、なんとか凛花を引き離して、飛行機に乗るのを見送ったのだった。
それが、美月姉妹が見た、僕の父
僕の父は、2年前の春、まだ雪深い北海道の山中で亡くなった。
帰って来たのは、登山道にポツンと残された愛用の一眼レフカメラ、今僕が手に抱えているモノ、それだけだった。
「あ、あの、そのカメラって」
「そう、父さんの」
「そ、そのおじさんのことは本当に・・・。」
「うん、ありがとう。もう2年も経ってるから僕は大丈夫。」
「コタ兄、おじさん・・・。」
二人はそうやって僕のことを気遣ってくれた。
気持ちはとてもうれしかったし、以前と変わらず優しい二人にほっとした。
けれど、僕は二人に、いや、奏多に視線を向けることができなかった。
それは、父さんのPCに保存されていた、あの写真データを見てしまったからだ。
子どもが見てはいけない、あの
妖艶で、でも、どこかあどけなく息をのむほど綺麗な女性の写真
今目の前にいる、姉の方、奏多に瓜二つなあの
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