第8話

それからはとにかくセバスチャンが持ってきてた本をひたすらに読み漁った。


文明レベルは地球でいうところの中世ヨーロッパというところか。


現代の知識を持ってすればいくつかの改善案は今すぐ出せることがわかった。


しかし、地球とは違うところがある。


魔法の存在とどうやらファンタジーでは定番の魔物が存在するらしい。


そしてこれまたど定番というべきかダンジョンが存在しており中には魔物が生息しておりお宝が眠っているらしい。


エルシュタイン公爵家の領内にもダンジョンが存在しておりダンジョン都市として繁栄しているようだ。


ダンジョン都市では公爵家の力よりも冒険者ギルドの権力のほうが上らしい。


それは日夜ダンジョンに挑む冒険者を取りまとめていること。


氾濫時に適切な指揮を取り被害を抑えてきたことなどダンジョン都市を運営していく上で必要なことだからだろう。


体は美少女になってしまったが実に男心をくすぐる世界ではないか。


自分の立場では難しいのはわかっているが是非とも冒険してみたい。


っと。


いけないいけない。


今はそんなことよりも知識を身につけなければ。


完璧な執事であるセバスチャンはフォローも完璧であった。


集中力が途切れた頃にやってきて軽食とお茶を出して去っていくのである。


お風呂の時間だけは別であるが書斎に引きこもり寝る間も惜しんで読み漁り続けた。


その結果、1週間ほどで必要と思われる知識を身に着けることが出来た。


「お嬢様。いかがでしたか」


「ありがとう。おかげで知りたいことは全てとは言わないけれどある程度頭の中に入ったわ」


「それはようございました」


「私の我儘に付き合わせて悪かったわね」


「いえいえ、お嬢様のお役に立てることが我が幸せにございます」


「出来れば魔法を覚えたいのだけどどうしたらいいかしら」


「それでしたらお見合いの相手に良い方がおりますよ」


「それは本当?」


「はい。若くして天才と言われたオッテンハイム侯爵家のセルゲン殿にお聞きになるとよろしいかと」


「それは楽しみね」


魔法を学べるということに浮かれ重大なことを忘れていた。


お見合い。


つまり相手はそういった目でこちらを見ているということである。


「お嬢様。少々お疲れのようですからお見合いに向けてしっかりと休息をとってください」


「わかったわ」


今のリーシアは目に隈が出来ていた。


そのような状態で会わせるわけにいかないとセバスチャンに促され久々に自室に戻って気が済むまで眠りにつくのだった。

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