第2話
薬が良く効いたのか目覚めはスッキリだ。
しかし、目覚めても状況は変わらなかった。
相変わらず見たことのない天井。
自分は今、豪華なプリンセスベッドに寝ている。
起き上がりプリンセスベッドから抜け出して部屋を見渡してみると日本ではありえないぐらい広い部屋であることがわかる。
部屋の隅にはドレッサーがあり鏡が設置されていた。
なんとなく近づき鏡を覗きこんでみる。
すると何故か美少女が映っていた。
あはは。
あり得ない。
自分が美少女?
まだ寝ぼけているのかな。
頬をつねってみる。
うん。
痛い。
ということは現実?
再び鏡を覗いてみるが相変わらず見たことのない美少女が映っている。
恐る恐る胸に手を当ててみる。
そこには男なら存在していないはずの膨らみが存在していた。
柔らかい・・・。
ってそうじゃなくて。
膨らみ?
どうしてこうなってしまったのだろうか。
原因はわからないがとにかく情報を集めなければ。
そう考えて部屋を色々探っていると日記帳のようなものを発見した。
その結果判明したのはまず自分の名前だ。
表紙に名前が記されていたのだ。
リーシア・フーゲル・エルシュタイン。
それがこの体の持ち主の名前のようだ。
読み進めていくとかなり歪んだ性格の持ち主だったようだ。
公爵家に生まれ望んだものは何でも手に入ること。
男達は美貌に騙されいくらでもチヤホヤしてくれること。
その結果、生まれたのは何をしても許されるという絵に描いたような悪役令嬢だ。
日記には誰それが気に入らないとか〇〇様が微笑んでくれたとかそんなことばかり書かれている。
よくもまぁ、こんな恥ずかしいことを日記に残したものだ。
何も考えていないお花畑な頭な持ち主だったようだ。
この体と付き合っていくうえでこのままでは色々とまずいような気がしてきた。
日記だけでは判断できないが周囲から情報を集める必要がありそうだ。
部屋を出て迷子になるのは困る。
公爵令嬢であることを考えればしばらく待っていれば使用人が様子を見に来るはずだ。
その予想は当りしばらく待っているとメイド服を着た女性がワゴンを押してやってきた。
「お嬢様。ご気分はいかがですか?」
「薬が効いたのかだいぶ良くなったわ」
「そうですか。それは良かった。熱でフラフラなのに出歩いて階段から落ちた時は心臓が止まるかと思いました」
「迷惑をかけたわね」
「これが努めですから。お食事はお取りになりますか」
「いただくわ」
「消化に良いように麦がゆをご用意しました」
「ありがとう」
お礼を言うとメイド服を着た女性は驚いたような顔をする。
すぐに顔は元に戻ってしまったが。
メイド服の女性から銀のお椀とスプーンを手渡される。
口に運んでみるとドライフルーツが混ぜられていてとても美味しかった。
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