第36話 ブラックドラゴンを味方にする「我が主人よ。我は主人に忠誠を尽くそうぞ」

「ふう……なかなかレベルが上がらないな」


 次のフロアボス、レッドワイバーンを撃破した俺たち。


 しかし、全員レベルアップしなかった。


「もしかして、あたしたち強くなりすぎたのかな?」


 亜美がワンパンで倒した、レッドワイバーンの頭をなでる。


「そうだな……【経験値分配】のおかげでかなり強くなかったからな」


 おそらく俺たちは女神想定以上に、強くなってしまったのかもしれない。


 上のフロアに行っても、モンスターはワンパンで倒せてしまう。


「湊川くん……このレッドワイバーン、どうする?」


 委員長がキラキラした目で、俺に聞くが、


 (レッドワイバーン、食べたいんだな……)


「レッドワイバーンは、牙や骨は武器の素材になるし、目玉は魔力が強くなる装飾品になる。他は食べよう」

「やったあああああああああああああああ! 湊川くんのお料理食べたい!」


 委員長は【ダンジョン飯】ハマってしまったらしく、


 モンスターの肉を食いまくっている。


「もおー委員長ったら食いしん坊なんだからー」

「い、委員長、食い意地すごい……」


 亜美も黒崎も少し呆れた顔をして。


「ごめんなさい。あたし、はしたないわよね……」


 落ち込んでしまう委員長。


「そんなことないよ。委員長がおいしく食べてくれて嬉しい」

「ほ、本当に……っ?!」

「うん。委員長の食いっぷりを見ると元気になるよ」

「くううううううううう~~っ!! 湊川くん! ////」


  顔が真っ赤になる委員長。


 (少しからかいすぎたかな?)


「あ、ありがとうっ! これからもあたし、いっぱい食べるね!」

「あたしも優斗の料理、いっぱい食べるからねっ!」

「は、吐くまで食べたいですう……」


 ……まあ、よくわかんないけど、たくさん食べて強くなってほしい。


 ★


 俺はレッドワイバーンをさばいて、


 火を起こして肉を焼く。


 ダンジョンの岩から取った岩塩をまぶして、


 食べてみる。


「お、おいしいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!!!!!」


 委員長がめちゃくちゃ叫んだ。


【スキル:灼熱のブレスを獲得しました】

【炎耐性(強)を獲得しました】

【氷耐性(強)を獲得しました】

【スキル:ドラゴンクロウを獲得しました】

【スキル:竜眼を獲得しました】

【全ステータスに+50の補正です】


 【火炎のブレス】が【灼熱のブレス】に強化された。


 これでもっと広範囲の敵に、高威力のブレス攻撃ができる。


 【ドラゴンクロウ】は近接戦闘に使える。


 俺たちは近接戦闘が苦手だからよかった。


 ただ……【竜眼】のスキルがよくわからない。


 いったいどう使うのか……?


「優斗、またあたしたち強くなったね!」

「こ、これで、あ、安心です……」


 レベルは上がりにくくなったけど、

 

 モンスターの肉を食べれば、まだまだ強化は可能だ。


 できるだけモンスターを食っていくぞ。


 ★


 次の階層に上がると、


「どらああああああああああああああああああ!!!」


 洞窟のフロアで、


 ドラゴン系モンスターがたくさんいた。


 俺たち急いで、近くの岩陰に隠れた。


「優斗……強そうなモンスターばっかりだね……」


 亜美が不安そうな顔をする。


 前回と違う。


 まだまだ弱いモンスターしかいないはずなのに……


 試しに近くにいるドラゴンを鑑定してみるか。


 ――鑑定、アクティベート!


 ブラックドラゴン

 レベル:345

 腕力:4567

 器用:3457

 頑丈:5678

 俊敏:1324

 魔力:7987

 知力:1111

 運:578

 New!なつき度:♡♡♡


 つ、強すぎる……


 こんな強いモンスターは前回いなかった。


 女神が何か仕組んだのか?


 まさか俺たちが強くなりぎたせいで、出現モンスターを強くしたとか……?


 ……下にある【なつき度】って何だ?


 ♡が3つもあるが……


「あ……っ! ヤバい!」


 ブラックドラゴンと、目が合ってしまう。


「ぶらあああああああああああああああああああああ!!」


 ブラックドラゴンの咆哮……!

 

【スキル:竜眼を発動しますか?】


 (え? こんなところで発動?)


「湊川くん……逃げないと!」


 委員長が俺の腕を掴む。


 (このまま……みんなヤバい!!)


 ――竜眼、アクティベート!


「ぶらあああああああああああああああ♡」


 ブラックドラゴンは俺たちの前で……


 おすわりをした。


「我が主人よ。我は主人に忠誠を尽くそうぞ」

「「「「ド、ドラゴンがしゃべった……っ!!」」」」

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