第24話 セーフルームでみんなで寝る※これってハーレムでは?

「今日はとりあえず休もう。セーフルームに入るか」

「湊川くん、セーフルームって何?」


 委員長が合流した後、


 俺たちはフロアボスのゴーレムに挑むことになった。


 で、ボス部屋前のセーフルームで休むことになったのだが。


「セーフルームは、ダンジョンにある安全地帯だよ。魔力を支払うことで、12時間だけ休める」

「そんなものあったんだ……全然知らなかった」


 委員長は目を丸くする。


「委員長たちは、今までどうやって寝てたの?」

「笹山くんと一緒にいた時は、交代で見張りをして休んでいたの……」

「そうか……大変だったね」

 

 どうやら笹山たちは、セーフルームの存在を知らなかったようだ。


 いつモンスターが現れるかわからない状況では、眠るに眠れないだろう。


 まだ迷宮の先は長い。


 きちんと休息をとらなければ、体力が持たなくなる。


「あれだよ。セーフルーム」


 龍の石像を俺は指さす。


 この石像に手をかざすと、


【セーフルームを利用しますか?】


 迷宮の声が聞こえる。


「はい。利用する」


【10マジックポイントを消費します】


 俺が魔力を支払うと、


 ゴゴゴゴゴゴ……っ!


 龍の目が赤く光り、後ろの壁が扉のように開く。


「す、すごい……! こんなのあったんだ……。笹山くんは【罠に違いない】って、スルーしていたのに」

「まあ笹山らしいな」


 迷宮で生き残るためには、思い込みは禁物だ。


 何でも試してみることが大切。


 セーフルームと言っても、中は何もない部屋だ。


 部屋に入って、さっそく休むことに。


「ここら辺に布団を敷こう」

「え?! 湊川くん、布団持ってるの?」

「モンスターの毛を素材にして、クラフトスキルで作ってんだ」

「本当にすごいね……」


 俺はアイテムボックスから、布団を取り出して、


 右端に亜美と委員長の布団を、


 左端に俺の布団を敷く。


 ちょんちょんっ!


 何かが俺の服を引っ張る。


「湊川くん……その、あ、あたしの分は?」

「あっ! 黒崎?!」


 俺は驚いてしまう。


 黒崎がいることに、今まで気づかなかった。


「あたし影薄い【モブ】だから、湊川くん気づかないよね? ごめん」

「いや、謝らなくても。こっちこそ気づかなくてごめん……」

 

 シーカーの力なのか、教室にいた時よりもさらに気配がなくて。


 本当に、黒崎の存在に気づかなかった。


「じゃあ、黒崎もこっちで寝てくれ」


 俺はクラフトで黒崎の布団を作り、


 右端に黒崎の布団を敷く。


「俺はあっちで寝るから。今日はみんな疲れたと思うから早く寝て——」


 俺がそう言いかけると、


「えっ? 優斗もこっちで一緒に寝ようよ。当然あたしの隣だからね!」

「湊川くんも、こっちで寝てください。とっても寂しいです……あたしの隣にいてください」

「あ、あたしも……み、湊川くんの、と、隣がいいかな……なんて。ごめんなさいっ!」


 亜美、委員長、黒崎が、


 俺の腕をがっちり掴んだ。

 


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