第22話 笹山、オーガにボコられて泣いてしまう「痛い……痛いよおおおお……っ! ママァ!!」 追放者視点

「オガァァァ!」


 オーガが突っ込んでくる。


「アレを使うしかないな……火炎斬っ!」


 火炎斬——剣に炎を纏わせて、敵を斬りつける。

 

 剣聖の固有スキルだ。


 当然、ある程度の魔力が必要だが、


「あれ……? 炎が出ない……っ!」


 いつもなら、すぐに剣に炎が現れるのだが、


「火炎斬、火炎斬、火炎斬、かえんざーんんんっ!!」


 「火炎斬」と必死に連呼する笹山。


 しかし、まったく炎は現れない……


 (なぜだっ?! なぜなんだ……?)


「オガァァァwwwwwwwww」


 発動しないスキルを使おうとする笹山を見て、


 思いっきり嘲笑うオーガ。


「クッソ………っ! どうすれば……」


 笹山は動揺している隙に、


 オーガが笹山に接近してくる。


【笹山くん……どうしたのかな?】

【まさかの魔力切れ?】

【笹山くんが負けたらあたしたち……】


 女子たちの間に、不安が広がる……


 普段と違って焦りまくる笹山に、危険を感じたのだ。


「仕方ない……普通に切って倒す」


 バスターソードを構える笹山。


「オガァ!!」


 オーガの拳が笹谷に――


 (はは……っ! ノロい奴だ!)


 余裕で避けられると思っていたが、


「ぎゃふんっ!!」


 オーガの拳が、


 笹山の顔面にめり込む……!


「がは……っ!」


 大きく弾き飛ばされる笹山。


 (ぐぐぐ……っ。めちゃくちゃ痛てえ……)


 口の中に、苦い血の味が広がって、


 顔の右側が、ズキズキと痛む……


 (おかしい……。オーガの攻撃を食らうなんて、今までなかったのに……)


 「オガァwww」


 顔面パンチを喰らわせたオーガは、


 痛みに耐える笹山を見て、笑う。


 (たまたまだ。きっと、偶然に違いない……!)


 もともと、オーガは動きの遅いモンスター。


 笹山のレベルなら、必ず攻撃を避けられるはず……


【笹山くん、頑張って!】

【笹山くんならきっと勝てるわ!】

【死なないで……】


 女子たちも、必死に笹山を応援する。


 笹山が死ねば、女子たちもオーガに殺される。


「オガァァァ♡」


 オーガは女子たちを見て、発情している。


 股間の【モノ】が大きくなって……


 しかも、オーガはある女子に熱い視線を注いでいた。


 (ウソ……。オーガがあたしを見てる……。おえっ!)


 オーガは尻加を見つめていたのだ。


 (笹山くんが負ければ……確実にオーガに……)


 想像した尻加は、吐き気を催す。


「笹山くんっ! 絶対に負けないでっ!」


 尻加も笹山を応援する。自らの貞操のために……


「尻加……。負けるわけにはいかない! おらあああああああああああっ!!」


 バスターソードを振りかざし、


 オーガに突進する笹山だが、


「ぐふ……っ!」


 オーガの拳が、笹山の腹に――


「がは……っ! ぐえええええええっ!!」


 笹山の身体は宙を舞い、

 

 地面に叩きつけられて。


「ぐぐぐぐぐ……ああああああああああっ!」


 血を吐きながら、のたうち回る笹山。


 モロに腹にパンチを喰らったせいで、


 内臓が破裂し、あばらが何本か折れる。


 さらに落ちた衝撃で、足の骨も折れてしまった……


「オガァァァwwwwww」


 勝ち誇ったように、オーガは大笑いする。


「痛い……痛いよおおおお……っ! ママァ!!」


 激痛に、笹山は叫び声を上げる。


 (あ、あり得ないっ! 剣聖の俺が、最強の俺が、オーガごときに負けるなんて……がはっ!)


「オガァ……♡♡♡」


 勝利を確信したオーガは、


 今度は女子たちのほうを向く。


 舌なめずりをながら、「はあはあ」と興奮して。


【きゃああああああああああああああああああ!!】




 


 


 

 

 


 

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