第16話 フロアボスを倒すために強くなる「ねえ……優斗。温泉での続きしよう——」

「よしっ! レベルアップだっ!」

「やったね! 優斗っ!」


「オガァ……」


 白い巨体のオーガが、息絶える。


 俺はオーガを倒した。


 名前:湊川 優斗

 年齢:17歳

 レベル:20→21

 腕力:350+15

 器用:470+20

 頑丈:170+10

 俊敏:100+5

 魔力:190+15

 知力:90+10

 運:70+5

 スキル:鑑定(C)

 スキル:クラフト(S)

 スキル:炎のブレス


 順調に、レベルは上がっている。


 洞窟のフロアを抜けると、レンガ作りの部屋に出た。


 いかにも「迷宮」って感じのフロアだ。


 通路はいくつも分かれていて、必ずモンスターが一体はいる。


「あたしもレベルアップしなくちゃっ!」

「次のモンスターは亜美が倒してくれ」

「うんっ!」


 俺と亜美は交互にモンスターを倒すことで、


 経験値を分け合っている。


 一人だけが強くなることを防ぐためだ。


 もし一人が経験値を独占していたら、そいつ死んでしまうと他の奴は「詰んで」しまうから。


 上の階に行くにつれて、強いモンスターがたくさん出てくる。


 連携して戦うことが必要だ。


「【経験値分配】スキルがあればな……」

「けいけんちぶんぱい? 何それ?」

「経験値を他の奴に分配できるスキルだ。しかも経験値分配を使えば、1.5倍の経験値を得られる」

「えっ?! めっちゃくちゃすごいスキルじゃん! 前回は、経験値分配を持ってた人いたの?」

「ああ。一人だけいた……」


 笹山たちのほうにいるか、あるいは、すでにフェンリルに食われてしまったかもしれない……


 経験値分配があれば、一気に強くなれるのに。


「よぉぉぉし! 次はあたしがオーガを倒すぞっ!」 

「ちょっと待ってくれ。オーガを食べないと……」

「うぇぇーっ! 本当に食べるの?」


 亜美は大いに不満げな様子だ。


「オーガの肉は魔力耐性、体力+補正、スキル【怪力】を得られるからな」

「でも……とっても、まずそうだよ?」

「たしかに美味くはないけど、お腹の肉なら柔らかい」

「優斗……本当にすごいね。何でも知ってるし」


 前回は、ほぼすべてのモンスターを食べた。


 ゴーレムとかメタルスライムとか、鉱物系モンスターを除いて、だが。


「このフロアの階段に、ゴーレムがいる。いわゆるフロアボスって奴だ。強さの段階が上がるから、なるべくレベルを上げておきたい」

「ボス……あたしたち、大丈夫かな?」


 亜美が心配そうな表情をする。


 初めてのボス戦だから、不安になるのは無理もない。


「きっと大丈夫だ。二人で戦えば絶対に勝てる」

「優斗がそう言うなら、信じられる」


 見つめ合う俺と亜美。


 この流れは……


「ねえ……優斗。温泉での続きしよう——」

「——湊川くんっ!」


 この声は……!



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