第16話 面

 出張から帰った父親が、土産だと言って面をくれた。

 いや、なんで? 土産でなぜお面? 

 首をかしげながらもとりあえず受け取り、ナツメさんに見せる。

「出張のお土産だってさ」

「この面……ずいぶんと古いものじゃないかい?」

「ああ、なんか出張先に骨董屋さんがあったんだって」

 なんてことないように答える私とは裏腹に、ナツメさんは何だか緊張したような面持ちをしている。

「どうしたの?」

「このお面……神様が宿っているよ」

「はぇ!?」

 ナツメさんの言葉に、思わず素っ頓狂な声が出た。

 神様!? いや、そんなファンタジーなことある?

「いわゆる付喪神ってやつだね」

「へぇー……ナツメさん、そういうのわかる人なの?」

「そりゃ人間じゃないもの。何かしら通じ合うんじゃない?」

 相変わらずふわふわとした適当なことを言う人だ。

 え、てか、神様て。いいのか? いやしかし、日本は八百万の神がいるとされているし、一家に一人(?)神様が居てもおかしくない……?

「え……どうするの」

「どうもしないよ。悪い神様じゃないもの。また人間と一緒に暮らしたかったんじゃない?」

 そんなゆるい感じでいいのか……いいのか?

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