第13話 流行
ベッドに寝転び雑誌をめくりながら、今流行りのファッションを眺め見る。
ベッドの端っこにいたナツメさんがごろりと転がって近寄ってきた。
雑誌を覗き込むと、ワクワクとした表情で「今はこういうのが流行なんだね」と話す。
ナツメさんの顔にかかった髪の毛を耳にかけてやる。
「ナツメさん、服好きなの?」
「まぁね。可愛いものは昔から大好きさ」
嬉しそうなナツメさんは、雑誌を楽しそうに見ている。
「ナツメさん、体あるならいつかこういうの着れるんじゃない?」
「そうだね。まずは体を探さないとだけど……」
生首の姿で満足しているように見えるが、一応体を探すつもりはあるらしい。
「そもそも、なんで首と胴体に分かれちゃったわけ?」
「幼なじみの彼にね、「君に手足があるとどこかへ行ってしまうから」って切られたんだよ」
えぇ……。てっきり純愛かと思っていたのにとんだヤンデレ男じゃないか幼なじみの彼さん。
「でも、ナツメさんだけアンデッドになってその、幼なじみの彼さんは死んじゃったんでしょう?」
「そうだね。だから生首のあたしがフラフラしているわけだけど。生まれ変わって探しに行くとは最期に言ってたな」
えー! 分かんないけど、じゃあいつかそのヤンデレ男が我が家にナツメさんを取り戻しに来る可能性があるってこと!?
「やだ怖い」
「むやみに危害を加えるような人じゃないさ。まぁ、生まれ変わりったって、本当かどうかも分からないけどね」
そう言うナツメさんは、少し寂しそうだった。
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