第11話 坂道

 家の前の坂道を、ものすごい勢いで駆け下りてくる影が見えた。

 目をキラキラと輝かせシャカシャカを足を動かす……犬だ。

「ジョンちゃん待って~!」

 リードを持った飼い主がゼェハァとガチめに息を切らしながら犬と共に坂道を転げ落ちるように駆け抜けていく。

「いやぁ、元気だね」

 リュックサックに入ったナツメさんがのんびりと言う。

 飼い主も大変だなぁ。とは言え、犬は可愛い。

「犬かー。いいなぁ、うちもペット欲しい」

「あたしがいるからいいじゃないの」

「温もりのある毛玉が欲しいんだよぅ」

「自分の世話もままならない君じゃ無理だな」

 うっ。おんなじことを中学生の時母親にも言われたな……。

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