第83話 語る開発者
「か、かっこいい……ですか、こ、これ、僕ですよね?」
「いや、純ちゃん、それ以外何に見えるの?」
「で、ですよね? い、いいんですか? ぼ、僕がこんな……」
純ちゃんは、どうやら状況が読み込めないようだった。
実際私も驚いている、まさか純ちゃんのアバターが……。
「あ、め、めめめめめめめ、迷惑でしたか?」
「い、いえ! む、寧ろ……こんな凄いもの貰っていいのかなって……」
「は、はい! い、良い武器になるかなって思いまして……結構前から開発してました! で、デザインも、井上さんらしさというかなんというか……か、かっこよさもありつつ、可憐な要素入れたりとか、あ、あとこの部分! 耳のところにピアスがありますよね? しかもパープルの! こ、これで可愛らしさも演出出来たらなーって、あはは……」
なんと……準備万端だね、ていうか凄い語るな、この人。
よほど気合を入れたようだ……しかもなんかすごく嬉しそう、相当楽しかったのだろうか?
「そ、それから……こ、こここここここ、これが、百地美羽さんに渡すものです!」
そう言って、下山さんが違う資料を取り出した。
その資料には……青龍刀を二本持った、チャイナドレス姿の百地美羽が描かれていた。
「これは……新衣装?」
「は、はい! コンセプトは香港映画に出てきそうな女幹部……みたいな……あはは……」
……もはや忍者ではない気もするが、デザイン自体はカッコいいし、強そうだ。
戦うとしたら、どういう風にすればいいのだろうか? ……戦略を練る必要がありそうだ。
「こ、この青龍刀で舞うように戦う事を想定してます! た、戦い方は実際やってみればすぐに分かると思いますが……」
「な、なるほど……」
「あ、そそそそそ、そう! 青龍刀を自分の腕の一部だと思ってやった方がいいですね! で、でもそればっかで攻撃してると足元ががら空きになってしまうので、脚技目視したりとか……あ、そうだ! 足技を使いつつも、青龍刀で戦う! これですね!」
「そ、そうですね……」
この人、自分が発明したものに関しては凄い語るな……よほど仕事が好きらしい。
こういう人って私の周りにもいたけど、世の中こういう人ほど成功するよね。
「じゃ、じゃあ……今すぐ新衣装送りますね! い、井上さんはこちらを……ちょ、ちょって待ってください! パソコン持ってきますから!」
下山さんはそう言うと、応接室を後にした。
「なんか、凄い事になりましたね、美羽さん」
「そうだね……」
純ちゃんのアバターに、私の新衣装……もう盛り沢山だね。
「あの、美羽さん」
「何?」
「その……アバター貰えたってことは、僕と美羽さん……一緒にVtuberとして配信できるってことですよね?」
「あ、そっか……」
確かに、そういう事になるね。
それは……なんというか……。
「……嬉しいよ、純ちゃんとVtuberとしてコラボできるのは」
「ほ、本当ですか!? 僕も嬉しいです!」
純ちゃんは、お似合いのまぶしい笑顔を見せてくれた。
その笑顔を見て、私も自然と笑った。
「で、でも、Vtuberって何をやったら……ゲーム配信……ドラギタ配信とかやってもいいですかね?」
「あ、それいいね! 今度ドラギタのセッション配信しようよ!」
「そ、そうですね! で、でも、状況が……」
純ちゃんは再び表情が暗くなってしまった。
あれ? 純ちゃん自信無さげ? 全くもう……。
「大丈夫! 私と純ちゃんでしょ?」
「そ、そうですよね!」
純ちゃんの笑顔……やっぱりまぶしいね、そう来なくっちゃ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます