第24話 コラボスタート

「皆さんこんにちは! 井上純です! 今日は山梨県某所のダンジョンにいます! 今日もモンスター倒していくのでよろしく! そしてボクの隣にいるのが……」

「みなさん、こんみうー! Vtuber百地美羽です! 今日は純ちゃんとのコラボ第2弾! 頑張っていくんでよろしく!!」

「はい! では今日はセンテンドーさんの商品、最新のドローンカメラの紹介も兼ねてます! この配信で興味持った人は下のリンクから購入してね!」


 純ちゃんと私は、ドローンカメラに向かって元気よく挨拶をする……前回、色々訳の分からないことが多く発生したのもあって、元気よく挨拶できていなかったので、今回は気合を入れた。

 最新のドローンカメラは既にスマホに登録されていて、以前とは違うドローンカメラが私たちを映していた。


『純様今日もカッコいい!! ¥8000』

『最新のドローンカメラの影響か、イノジュンがよりかっこよく見える ¥4000』

『美羽ちゃんから、イノジュンも応援してます ¥500』

『台湾からです、井上さん、百地さん、頑張って NT$1000』

『Love♡Jun-sama♡from Australia A$50』

『韓国から、かっこいいところ見せて! ₩100000』


 流石純ちゃん……海外からもスパチャ来てるよ……私も昔ちょっとだけ貰えたかな。


「さぁて美羽さん、武器を構えて行きましょう!」

「うん……って、純ちゃん、今日も丸腰?」

「丸腰じゃないですよ! 僕の武器は……この体です!!」


 純ちゃんは自分の二の腕を叩いて、筋力を示した。


「おお……そりゃ頼もしいね」


 私は冗談交じりで静かに笑った。


「あ、今笑いましたね!」

「わ、笑ってない笑ってない!」

「むぅー……なんか、頼りないって思われてるみたいです……」


 純ちゃんは顔を膨らませ、そっぽを向いてしまった。

 もう、子どもじゃないんだから……。


『あ、イノジュンが珍しく怒ってる』

『怒ってる純様かわいい』

『夫婦喧嘩か?』


 ふ、夫婦喧嘩って……まぁ、からかうのもこれくらいにして、純ちゃんの機嫌を直してあげよう。


「冗談だよ、純ちゃんが強いってこと私が一番知ってるからさ」

「本当ですか!?」


 純ちゃんはキラキラした目で振り返り、私の手を掴んだ。

 突然の事に、私の顔は瞬間湯沸かし器のように熱くなってしまった。

 ドローンカメラの映像をチラ見すると、私の顔はゆでだこのように赤くなっていた。


『恥ずかしがってる美羽ちゃんかわいい』

『流石はイノジュンの嫁、旦那の機嫌を直すのが上手い』

『羨ましい……美羽ちゃんそこ替わって』


 コメント欄は盛り上がりを見せ、滝のように文字が流れていっている……。

 もはや視聴者の中では、私たちは夫婦という事になっているようだ……どうやったらそうなるのか小一時間問い詰めたい。

 ま、まぁ……確かに、純ちゃんはカッコいいし……ちょうどさっきみたいにかわいい一面はあるけどさ……べ、別にそういう仲に……。


「……はい! というわけで、これから奥へと進んでいきますよ! 行きましょう! 美羽さん!」

「う、うん!!」


 私たちはそのまま手を繋いで、奥へと進み始めた。


『ミウジュンてぇてぇ ¥5000』

『美羽ちゃん羨ましい…… ¥500』

『That……beautiful…… CA$90』

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