第23話 コラボ
「……美羽さん、美羽さん」
「……え?」
小さく私のライバー名を呼ぶ声がし、振り向くと……帽子を深く被ったスーツ姿の人物が立っていた。
スーツと言っても、赤いジャケットに黒のシャツ……傍目で見ればそっちの人みたいに見える……。
「もしかして……純ちゃん?」
「……はい、こんにちは、美羽さん」
……純ちゃん、なんでそんな恰好してるの!?
私たちはお互い他人のふりをしながら小声で話し合った。
「……何その恰好?」
「いや……普段着だと目立ちますし……」
「……そっちの方が目立つよ! もっとマシな服無かったの!?」
「いや、だって……配信で使っていない服と言えばこれしかなかったですし……」
純ちゃんの身長で赤い服は、東京に立っている333メートルの鉄塔並みに目立ってしまっている。
まったくもう……変なところで抜けてるなぁ。
「とりあえず申請しに行くよ!」
「は、はい」
私たちは受付へと足を運んだ。
☆
申請を終え、私たちは樹海の中に入り……その中心にあるダンジョンの中に入った。
配信の告知は純ちゃんが着替えている間に済ませたので、さっさと配信を開始してしまおう。
「じゃあ、最初は純ちゃんのチャンネルで放送するんだよね」
このバーチャルチェンジャーには「コラボ機能」というのがあるらしく、コラボ相手に掛け声を言わせると、その人のチャンネルで放送できるようになるらしい。
私は携帯を純ちゃんに手渡した。
「確か……こう叫ぶんでしたよね? 『コラボ』」
『コラボ、オーソライズ、井上純』
純ちゃんが掛け声を叫ぶと、テクノポップ調の待機音が流れ始めた。
確か、この状態で……。
「ライブオン!!」
『オーソライズ、百地美羽、ログイン』
私が掛け声を叫ぶと、前回と同じように待機音が流れ始めた。
「なんか……恥ずかしいな、これ」
「いいじゃないですか、早く始めましょうよ」
「うん……」
私は携帯電話を腕輪に嵌めた。
『百地美羽、ライブ、スタート』
そんな音声と共に、私はVtuber百地美羽の姿となった。
ドローンカメラとコメント欄が表示され、ライブスタートだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます