第3話 依頼
ピンポーン……ピンポーン……。
「ふぁー……」
呼び鈴の音がして、私は目を開けた。
なんだよもう……人が気持ちよく寝てたのに……。
私はゆっくりと玄関に向かい、扉の先に待つ人を出迎えた。
「……はい?」
「あ、お届け物です、『
「あ、え、えーっと……はい」
いけないいけない、こういう仕事してるとVtuber名義と本名がごっちゃになるからついつい返事が遅れてしまった。
私は受け取り表にサインをし、段ボールを受け取った。
……あれ? 私何か注文したっけ? 送り主は……。
「京都府……『センテンドー社』……センテンドー社!?」
私はその送り主を見て驚愕してしまった。
センテンドー社……日本、ひいては世界でも知らない人はいない超有名ゲーム会社……そして……最近ダンジョン関連商品で今勢いのある企業……あの井上純のスポンサーでもある企業だ。
そんな会社が……何故私に?
私は興奮を抑えつつ、箱を開けた。
その中に入っていたものは……。
「腕輪と……携帯電話?」
……なんだこれは? 私にこれをどうしろと?
ん? なんか下の方に手紙が入ってる……。
私は封筒を開け、中身を読んでみた。
「Vtuber『百地美羽』様、初めてご連絡差し上げます。株式会社センテンドー代表取締役社長の『
……下の方にはこんなことが書いてあった
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【依頼内容】
・製品名:バーチャルチェンジャー
・希望配信内容:上記を用い、ダンジョン内でのライブ配信
また、配信する際は、百地様が配信で用いている機材はすべて使用しないようお願いいたします、こちらのお荷物に送付しておりますバーチャルチェンジャーと携帯電話のみをご使用ください。
既に依頼料100万円は振り込みましたので、この手紙をご覧になった後、至急配信をお願いいたします。
また、ダンジョン探索で発生した交通費、その他費用は後日弊社で建て替え致します。
誠に勝手なお願いで恐れ入りますが、
ご確認いただけますよう、何卒よろしくお願いいたします。
ご不明な点がございましたら、下記の番号から連絡をお願いいたします。
0120-XXXX-XXXX
-----------
……はぁ?
意味不明な内容に、私は困惑を隠せなかった。
私が……ダンジョン配信? 何言ってんの? 私Vtuberだよ? 顔出せるわけないじゃん。
ていうか社長直々に依頼って何? この手紙の内容ご不明なところしかないんだけど? なんか怖いな。
100万円……もう振り込んだ? 配信機材は使用せずにこの変な腕輪と携帯だけ?
……これは何かのドッキリか? さっきの配達員が仕掛け人で「旬の過ぎたVtuberが有り得ない依頼を受け取ったら引き受けるか否か」みたいな内容で後日テレビで放映されるとか?
……そう思って、辺りを確認するも、隠しカメラは見当たらない。
……本当に振り込まれてる?
私は自分の携帯を立ち上げ、通帳アプリを開いた。
……そこに表示されたのは。
『入金 (株)センテンドー 1,000,000円』
……夢じゃない、ドッキリでもない、これは……本物?
「と、とりあえずどうすればいいんだ……」
私は状況が呑み込めず、部屋を徘徊しだした。
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