第36話 風呂

僕とママが湯舟で寄り添い、ナツがママのおっぱいをプニプニと弄んでいると服を脱いだナツが風呂場に入って来た。


「あぁ・・・風呂は暖かくて良いねぇ」

「本当ねぇ」

「あぁ」

「・・・」


先ほどまで元気にママのおっぱいを弄んでニコニコしていたフユがママの胸に抱き着いて固まってしまっていた。


「フユはアプの剪定を覚えた?」

「ううん・・・まだ・・・」

「ちゃんと覚えるのよ?あなたのためだから」

「うん・・・」


ナツの言葉にフユはさらに固まってしまっていた。


「フユ・・・ナツママが何で厳しいか分かるかい?」

「・・・あなたのためだから?」

「そうだね・・・でもそれだけじゃないんだよ?」

「そうなの?」

「うん・・・この中でフユを一番好きなのはナツママなんだよ?」

「ナツママすぐに怒るのに?」

「うん・・・ナツママはフユを産んだママだからね」

「私を産んだママだと厳しいの?」

「うん・・・優しくして覚えなかったらフユが1人になった時に飛び蜥蜴に食べられちゃうかもしれないだろ?」

「えっ?」

「僕もハルママもナツママも君より早く死ぬんだ・・・」

「嫌っ!」

「みんなフユより早く産まれたからね、仕方ないんだ」

「嫌ぁ!」

「多分一番最初にハルママが死ぬ・・・」

「えっ?」

「その次が僕でその次がナツママだ」

「・・・」

「今日はフユを僕がアプの剪定をしたり、飛び蜥蜴からも守ったけど、僕達が居なくなった時にフユが出来なければ飛び蜥蜴に食べられちゃうかもしれないんだ」

「・・・」

「悲しいけれど・・・そうなんだ・・・分かったかい?」

「・・・分かったけど・・・嫌ぁ・・・」

「その時にはフユにも子供が出来ていて、厳しくアプの剪定をしたり飛び蜥蜴を追い返しているんだ」

「・・・」

「・・・その時はフユも自分の子の為に厳しく教えるんだ・・・」

「・・・」

「そうしないと、その子が飛び蜥蜴に食べられてしまうかもしれないからね」

「嫌ぁ・・・」

「そうならないようにナツママはフユに厳しく教えているんだよ」

「うん・・・」


僕はママに抱き着いて居るフユをママから受け取るとナツに抱くように差し出した。

ナツは僕からフユを受け取るとギュッと少し抱きしめた。


「ナツママ?」

「パパの言った事をちゃんと覚えておくのよ?」

「うん・・・」


僕は503巡を越えて人生の折り返しに入っている。ママも665巡となっていて色々最後の事を考え始める時期だ。森林の白は900巡前後に生理があがったりモノが立たなくなって老いが始まると言われて居る。ママの年齢は元気な内に苗床となる候補地を探し、その周辺の手入れを始める時期と重なり始めている。僕のパパも最近亡くなりママと一緒に苗床に埋葬する儀式に参加したばかりだ。寿命の長い森林の白であっても着実に終わりの時は近づいて居る。

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