第9章 育児編

第33話 認識

「イキんでっ!!」

「力を入れて!」

「んあぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「頭が見えたわよっ!」

「落ち着いて・・・・教えた呼吸だよ」

「ヒッヒッ!ヒッヒッ!ヒッヒッ!」

「イキんでっ!」

「力を入れて!」

「んあぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「出るわよっ!」

「あと少しっ!」

「あぁぁぁ・・・」

「出たわっ!」

「良く頑張ったね!」

「パパ・・・ママ・・・」

「女の子よっ!」

「元気な泣き声が聞こえるかい?」

「・・・うん・・・」

「すぐにあなたに抱かせるから待っててね」

「産湯につかせているからね?」

「私の子・・・」

「キレイキレイしましょうね・・・」

「今はママに任せて体を休めてて」

「うん・・・」

「ほら・・・奇麗になったぁ」

「落ち着いたらこの水を少し飲んで」

「うん・・・」

「はい・・・あなたの子よ?」

「僕と君との子だよ」

「私とパパの・・・」


娘が避妊薬の摂取をやめた12巡目に無事に女の子を出産した。娘と違いすぐに泣き声をあげた元気な子だ。泣き声は娘が生まれた時とそっくりだ。

ママになった娘は放心状態だ、ママに股間を濡らしたタオルで優しく奇麗にされていても産まれたばかりの娘をじっと見ている。けれど僕が差し出したすりおろした巨大樹の実を乗せた匙を口元に持っていったら甘い匂いのおかげか口を開いてくれた。


「冷たくておいしい・・・」

「いっぱい頑張ったからね」

「この子にもご飯・・・」

「すぐには出ないよ、でも吸わせてあげて」

「うん・・・」

「君が生まれた時ママはすぐに沢山出るようになったけど2日ぐらいはあまり出ないものだからね」

「吸い付いてる・・・」

「元気な証拠だよ」

「鼻がフスフス言ってる・・・」

「君が産まれた時もそうだったよ」

「パパ・・・」

「なんだい?」

「パパの子・・・」

「うん・・・」

「幸せ・・・」

「僕の子を産んでくれてありがとう」

「うん・・・」


初めて子供を産んだからなのか娘はまだ少し放心状態のようだ。僕だけで娘を取り上げた時のママはすぐに気丈にしていたけれど、産んだのが2人目だったからなのかな。


「良く頑張ったわね」

「ママ・・・」

「あなたは大丈夫のようね」

「うん・・・パパがパパのままだよ」

「良かったわ」


森林の白の女性は子供が出来ると全てが子供優先な考えになり、旦那を共同生活の相手としか見れなくなってしまう。愛する相手からの愛がどんどん冷えたものに変わってるいく感じに、僕は悲しい気持ちを感じてしまうのだ。

森林の白の男はそれを当たり前と認識するけれど、以前の生の記憶が残っているためか、僕には辛い時間がずっと続く事になる。今回はママも一緒にいるので孤独感は少ないと思っていたけれど、娘は出産後でも僕に気持ちを残してくれているらしい。

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