フリーマテヌの書

本多裕樹

第1話 初めの魔術師フリーマテヌ

第一話 初めの魔術師フリーマテヌ

       ◯

輝く夢、どこまでも降り続く雨の光に

時おそくして闇もあろう

月の下に海の夜明けを待つ

果てなき輝きに私たちは天空を眺め

夜を眺めていた。

時の終わりも迷いつつ

滅びの時も慰めだ

見ようにも見えず果てにあこがれて

時の終わりを夢に見る

眠りもまた良きかな短き死

華も輝く平原に惑い

底の底に堕ち行く我は

幻想の夢にただいま旅たち

冒険の章は始まるのだった。


            ◯

フリーマテヌはこう思った。先にある夢の先、天空のある場所をこの国の危うきは誰もが知り得よう。幻想の中に消えゆく危険を私たちは崖の底に感ずるのだ。戦士たちがそこに身を投げ犠牲となり、心臓をえぐり火に焼き燔祭を成す。神々はそれを見て怒りを鎮める。時を知りたまえ、幻想の夢を、あらゆる可能性に夢を見ては幻想の中に頭脳のアンテナは天空に行くのだ。あなたは知るだろう。その世界を、


            ◯


人は結局、欲によって生きている。道徳を守る者は稀だ。身についた道徳は自分で作る。あらゆる価値観の中、誰も同じような存在はいない。異形の世界はこの現実の現実だ。そこから逃れる人は幸なり、帰って来れば福音を告げることもあろう。


            ◯

海の向こうに見える異形の「もののけ」はこの国を襲うだろうか。

仲間につけて躾もできようか

しかし、そんなものでもない

巨大な異形の怪獣は街々を破壊し、

火で焼く

夢でも見たあの映像は

この幻獣の滅びの予感に

私たちは怯え、

斎戒沐浴をした僧侶が祈祷をし

もののけを慰める

生贄として処女7名を捧げたいらげた

限りなき消えない火は消えて

もののけは消えていった

そうして星となって天空に輝いている


            ◯

フリーマテヌ


輝きの門を見たが私たちはその門の先に行くことができない。

そこを通ることができるのは神官のみである

王族ですらそこに足を踏み入れることはできない

かつて昔、その門を通った人間があった

その人は消えていった。

存在が消えたのか

声だけは残っている

そして、正義の王がその門を通った

病となって戻ってきた。

重い皮膚病になって全身、雪のように白かった

そこには何があったのだろうか

凶的な出来事だ

神官たちはその先を見ているという

何やら啓示をいただき

王に伝えるようだった

その様子を傍観し眺めていた


           ◯

「楽隊」


おお、去りゆく者たちよ

去ってどこにおいでになる

死の世界の秘密を知ってのこと

私たちに教えてくれや

死の先に何があるかを

果てや死の先

そこは天の国か

神々の住まう宮居か

私たちの地上の世界は意味あるべきか

そなたの声を聞かせてくれや

祝福の言葉を

果てに見える見える光の可能性を


             ◯

もののけがやってくる。あらゆる詩の言葉でもって

海を汚し、血を求める

夏のあの暑さに似た災害が

私たちを襲うだろう

これは予言であろうか?

そのことを知る者もまた少ない

少数の人たちで共有される知らせに

我らは有事の計画をする

かの天空神殿にある神々を呼びさまし

降臨を願う儀式をする

神々のお力でそのもののけを打つ

その先導として神官に働いてもらうため

牛を捧げ、天に燃やし灰にする

かつての黄泉にまで達し

天空の神々に祈りを捧げるのであった

限りなき日々にその瞬間があって

黄泉の異形の獣は蹂躙する

時の終わりを夢見る若者に

その智を与え

己が英雄であることを信じる



            ◯

もののけを知らなかった。

夢でも伝承でも、何もかも

その姿を見た人はいない

神々の一人か?

その夢は幻に消え

どこからともなく、妖としてやってくる

お前の夢にどこからかやってきて

神々への燔祭を阻止しようと来るのか

二十四人の長老を集め、祈祷を願う儀式

彼らはマスターであり、参入儀式を通じた方々

神の知恵を持つ者たちだった

しかし、誰ももののけの存在を知らない

小さな粒子の意識であるのか、

何かの妖の存在、存在なのか

時の終わりにやってくる可能性に

私たちは一人二人と侵食されて汚れていく

闇に消えゆく月を眺め

星々を見て願う

マスターたちの神殿がどこからともなく

やってくるのを夢見ながら

少女は眠りにつくのであった。


            ◯

「フリーマテヌ」



さらば、国よ

さらば、世界よ

どこまでも続く時、

私たちは神官を犠牲に捧げようと

二十四人の長老を

探し、

彼らの村を探し、探して

人の形をしたマスターを味方に付けることはできるか

お前の夢の中にある光

その光を目当てに奥深い幻想を具現する

時の終わりなんて無い、皆無である

時間は生命であり

時間はプログラムである

そして、この空間も作られた幻だ

私たちは、そこから出て

天空神殿に行き生者の燃え料を得て

生命を作る計画を立てている

空の人たちは知っているのだろう

限りなき夢に旅立つ夜

月は私たちに見せる現実を、

もののけもまたその邪悪によって

この世界を食べようとするのだろう

私たちはもう、戦いが始まっている

もののけはすでに活動をしていて、

私たちの中に入り込んで光を食べている

光を失った人は

鬱状態になって夢を失っていく

花の美しさも枯れていく

何もかもの生命の宿りし者は、

時の終わりを見るとも思えない

果てなき闇に入れ込まれ

第二の死の中で新たな創造をするのか

人は家畜になっていくのか心を吸い上げて生命を得る

その、もののけの存在も解らぬまま

この戦いは終わらない

神々の臨在の中に入り

会議に参加しなくてはならぬだろう






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