🤩テーマは『オッパイ』!さあみんなで真面目に考えよう!🧐

土岐三郎頼芸(ときさぶろうよりのり)

第1話 オッパイの語源の通説を疑え!

「カズマ! 今日は男同士、オッパイについて語り明かそうじゃないか!」


「サブロウ先生、なんで会うそうそう真昼間から下ネタ全開やねん?」


「下ネタではない! われわれ男性がついつい惹きつけられて目を奪われてしまう『オッパイ』だが、なぜ乳房ちぶさを『オッパイ』と呼ぶのか、お前は考えたコトはないのか?」


「なんや思うたらそんなコトかいな。ないなあー。たしかに考えたコトないわ!」


「そうだろう、そうだろう。普通の俗人は『オッパイ』の単語が指し示す身体の部位にのみ関心を抱く。その単語の語源に思いを馳せるような知性あふれる上等な人間はほんの一握りだ!」


「おお、言うたなあ。センセ自分がそうやって言うんやな」


「もちろん」


「ならなんで『オッパイ』は『オッパイ』やねん?」


「まあ、落ち着け。あまりがっつくんじゃない」


「センセなにもったいぶっとんねん。早う言うたらええやん!」


「オレは今までの通説と比べて、より真実であろう『オッパイ』の語源ルーツにたどり着いた。だが、まずは通説を聞いて意見を聞かせて欲しい」


「まわりくどいなあ。わかった、わかった。ほな聞いたる」


「みんなも大好きなWikipediaの情報を元に話を進めるぞ。通説その1、『ををうまい(おおうまい)』が短くなった。一応コレが本命らしい。草川昇『語源辞典 名詞編』東京堂出版、2013年9月10日、42頁にそう出ているそうだ」


「ならそれでいいやん。どこが不満やねん」


「ただしその根拠というのが、オッパイの意味を書いた一番古い本によると言うのだが、本のタイトルが怪しい。『於路加於比(おろかおい)』だぞ、『愚か〜、オイ』と人を馬鹿にしてるようにしか聞こえん!」


「うわ〜っ、胡散くさ〜! もう釣り確定やろ!」


「そう思うだろう? ただこの本は実在するし、吉川弘文館の『日本随筆大成第二期第20巻』にも収録されているそうだ。作者は柳亭種秀(笠亭仙果)という幕末の戯作者だ」


「なんやその本ホンマに存在しとったんか」


「そうだ。でも、これは学者の書いたもんじゃない。戯作っていうのは戯れ、洒落っ気のお遊びだからな。要は面白けりゃいいネタだ。けして鵜呑みに信用していいものではない」


「ほーう」


「そもそもこの「おおうまい」説の根拠は弱すぎる」


「どーゆーことなん?」


「オッパイ飲んでいる赤ん坊が『おお、うまい』なんて言うか?」


「そらそうや。おったら気持ち悪いわ。美味しそうには飲んどるけどな」


「だったら、『おお、うまそう』だろう。そうしたら『オッパソウ』にならないとおかしい」


「そうかあ?」


「仮に大人が母乳を飲んだとしてもだ。母乳の味は基本『ほんの少し甘い』程度だそうだ」


「そうなんか?」


「さあ? でもそうならば『おお、美味い!』とまで感嘆するようなものとも思えん。世の中には母乳のほかにもっと『おお、美味い!』と感嘆すべき甘いものはいくらでもあるだろう」


「そらそうや」


「それに『まい』が『ぱい』に変化したと言うのもそんな変化の例を他に思いつかない。怪しすぎる」


「なるほど。センセもちゃんと考えたんやな」


「当たり前だ。というわけで、オレは通説その1を認められられない。こんな具合に他の通説も検討しようじゃないか」


「まあ、つきおうてみよか」


つづく

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