第4話
それが破滅に向かうきっかけになったのです。
カトレイヤの婚約者はカトレイヤを救おうとし、実家に関するすべての援助を打ち切ったのです。
そうすればカトレイヤを差し出して援助を求めてくると思ったのです。
ですが、それは悪手でした。
思い通りにならないフランソワの狂気を抑えるためにカトレイヤは与えられ続けていたのです。
そのため、カトレイヤはすでに精神を壊していたのです。
いまさら壊れた
カトレイヤをある意味から手放せなくなったフランソワは当たり前のように連れていきました。
そこでフランソワは元父に押さえられて、元母がカトレイヤにナイフを振り上げたのです。
それを『カトレイヤがいなければ次期当主になれない』と思い込んでいたフランソワが母親ともみ合い……
フランソワは殺されて庭へ埋められ、悲鳴をあげて倒れたカトレイヤは目覚めず。
死んだと思われ、離れた場所にある簡素な神殿前に捨てられました。
「死んだと思われて捨てられたのは、カトレイヤが実子ではないからなのね」
「はい。カトレイヤ様もご自身が実子ではないことを存じ上げておりました」
「時間はかかったけど、カトレイヤは私を思い出した。私と会って記憶を取り戻したのよ。少しずつだけど心が癒されているのは、あの子の婚約者がつきっきりで面倒をみているから。すべてを知っても、あの子たちは乗り越えられる。帰ってきたら、『デイジー商会会長の妹』として送り出すわ。そのために商会を大きくしてきたのだから」
カトレイヤの婚約者が自力で探して見つけ出したカトレイヤは精神を病み、記憶を失っていました。
それでも……いや、何も覚えていないにも関わらず、カトレイヤは婚約者にだけ心を開いていったそうです。
その事実から、治療院でカトレイヤの世話を許されました。
少しずつ私を思い出させて、私に連絡がいくようにしてくれました。
カトレイヤはすべてを思い出しても、フランソワと同性の婚約者を怖がることはありませんでした。
何もかも壊れたカトレイヤの心の中を、婚約者の存在が大きく占めていたのです。
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