第3話


翌日から妹を引き取る準備を始めました。

それとは別に、役人がきて庭に埋められたフランソワの遺体を見つけて連れて行きました。

箱の中に入れられた義弟は腐敗がすすんでいたそうで、私は身内であっても廃籍されているという理由から対面を許されませんでした。


元両親の部屋は空になっています。

義弟が殺された部屋げんばということで家財も含めてすべて運び出されたのです。

そして、義弟だけでなく妹の部屋は何もかも破棄されていました。

すべてを売り払っても、没落は免れなかったのです。



「みんなにも迷惑かけたわね」


私が再雇用した使用人たちに労いの言葉をかけると、執事が首を左右に振りました。


「お嬢様、私たちのためにこの家に戻ってくださりありがとうございます」

「いいえ。フランソワもバカなことをしたもんだわ。自分の立場を弁えていれば殺されずにすんだものを」


フランソワが母の不貞により生まれた子だというのは事実です。

ですが、もっと大事な事実から彼は目を背けていたのです。


「フランソワは自分がだってことを忘れていたのかしら?」

「いえ、フランソワ様は」

「ああ、フランソワは呼び捨てでいいわ」

「はい、あのフランソワは父親はマーガレット様のだと信じ込んでいたのです。あの日も周囲にとって不貞でも自分は子爵家の実子だと思っていたのです。そのためマーガレット様が廃嫡されたため、次期当主は自分だと思われていました」

「次期当主はフランソワでもカトレイヤでもないわ。あの子は母の親友の遺児だもの」


そのことは知っているはずです。

それなのに愚かしいことにカトレイヤを犯し、それを堂々と元両親に自慢したのです。


「フランソワは自分が次期当主ではないと知って、今度はカトレイヤが次期当主だと思い込んで既成事実を作ったんですって? カトレイヤ曰く、行為直後に全裸で両親の前まで連れて行かされたって言ってたわ」

「はい、そのときカトレイヤ様の婚約者様がおいでになっておりました。そのような場に既成事実の証拠として全裸のカトレイヤ様を皆様に……」


それがきっかけでカトレイヤの精神は壊れました。

壊れたカトレイヤをフランソワは『妊娠させたら次期当主は俺だ!』と信じ、腐った元両親もフランソワの行為を笑っていたそうです。

狂った家族のせいで、可哀想なカトレイヤは人生も精神もメチャクチャにされたのです。

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