第28話 班編成?

 俺が解放された次の日、メデューサらしきホームページの画像を雅人さんに写真を見せたところ、一大事になっていた。


「亮? これ、どこで手に入れた?」


「えっ? 監禁されてたところに居たやつが見てたんですよ。それを写真撮ってきたんです」


「でかした」


「なんかの役に立ちますか?」


 今まで探しても見つからなかったURLがここに写ってるらしい。


「あぁ。これは役に立つ。奴ら海外のサーバーを経由した所にサイトを置いてやがった」


「普通では見つからないんですか?」


「そうだ。普通に探しては無理だ。警察には?」


「話してないです」


「それでいい。アイツらは下手だからな……」


 パソコンに向かうと何やら黒い画面を出してキーボードを叩き始めた。ここからはあまり邪魔しない方が良さそうだ。


「お手柄だぞ? これで、奴らに近づく事ができる」


 肩を叩いてそう話してくれたのは護さんだった。警察には本当に言わなくてもいいんだろうか。


「警察には?」


「まぁ、情報として確かなものになったら匿名でリークしてやるよ」


「なるほど」


「よっしーと、流、ララと一緒にやってきたけど、どうだった?」


「そうですねぇ。それぞれ特色があっていいなと思ってます。よしさんの所は、コミュ力。流さんの所は戦闘力。ララさんの所は、飴と鞭? みたいな感じで」


「間違っちゃいないな。的確だ」


「ただ、俺ってどこに入っても異質な気がして……」


「それがな、どこの班からもラブコールが来てるよ?」


 その言葉に思わず護さんの顔を凝視してしまう。


「本当ですか? 俺が?」


「あぁ。みんな欲しいってさ。俺は困っちまったよ。だから、どうしたもんかと思ってなぁ。それで亮の好きなところにって思ったんだが……」


「俺が、どこって言わなかったから」


「そう。ったく困ったなぁ」


 腕を組みながら目を瞑って考えている護さん。


「そうだなぁ。そろそろ下のやつらの成長のために班を編成し直してもいいかもなぁ。今までスリーマンセルにしてたけど、ツーマンセルにするかぁ?」


「えっ!?」


 俺は嫌な予感がして顔を歪めてしまう。


「はははっ。嫌そうだな?」


「いや、なんかイヤーな予感が……」


「流と組んで最強ペアはいやか?」


「流さん、取っ付きにくいんですよ。冷たいし、上からものを言うので……」


 ここはハッキリ言っておいて方がいいだろうと思い、気持ちを伝える。


「うむ。慣れればいいと思うがなぁ。逆に誰だと合う?」


「んー。蓮さん、流さんじゃなければ大丈夫です」


「うわー。痛いところついてくるなぁ。一番扱いづらい二人じゃん!」


「扱いづらい自覚があったんですね」


 顎に手を当てて考えている。隣の席に腰を下ろすとクルクルと回り始めた。


「んー。ララと組むか?」


「翔さん組ませた方が良いのでは? 同期ですよね?」


「実はな……あのスタイルと美貌だろ? 今まで依頼人に気に入られすぎて危険な目に何回もあってるんだ。この社内でも例外じゃないと思っている。伴は筋肉バカだし、ララは好きなタイプじゃない。翔も同じくララはタイプじゃないらしいし、頭がキレる。だから三人を組ませた」


「あー。社長って大変ですね?」


 ため息を吐きながらダラーっと椅子に座る。


「だからよぉ。亮はもうエレナさんがいる訳だろ? だから、免疫あるじゃん?」


「だからこそですよ……エレナさんの束縛なめてます? ララさんと組んだなんて知られたら殺されそうですよ」


「あー。そっかぁ。じゃあ、伴と組ませるかなぁ。じゃあさぁ……」


 しばしの沈黙の後に口を開いた。


「翔と組んで?」


「良いですよ。逆にいいんですか?」


「いいよ。あまりペアね」


「うわー。なんか率直すぎて酷いですね」


「はははっ! まぁ、いいじゃん。亮のワガママを聞いた結果なんだからさぁ」


「それは、すみません」


「よしっ! じゃあ、休み明けに皆に発表しよう! 今日はトレーニングしな? 仕事はまた来週からだから」


「はい!」


 トレーニングルームで体を動かそうと中に入ると先に伴さんが居た。


「おう! 亮も来たか。どこの班に入るか決まったか?」


「あー。なんか、ツーマンセルにするらしいっすよ?」


「……マジかよ。まぁ、その方が動きやすいか」


「ペアをくっつけて四人とかでもできますもんね?」


「そうだな。オレのことなんか言ってたか?」


「えーっと、ララさんと組ませるっぽいこと言ってましたよ?」


「うわー。めんどくせえ。アイツと同じペアになったら余計依頼人からのオレの扱い雑になるじゃねぇかよ」


 伴さんはダンベルを上げながら顔を歪めた。


「ふーん。でも、今回のストーカーみたいなのだといいペアじゃないですか?」


「まぁなぁ。ララは誰とでも仲良く慣れるからな。だから、いいのかもしれないけどよぉ。オレはそんなにコミュ力ねぇってぇの!」


「そうなんですか?」


「そうだぞ! ったく。まぁ。他の奴と組まされるよりいいか。流とはオレはやってらんねぇからな」


「俺もです」


「やっぱりな。一週間大変だったな?」


「そうですよ。嫌味言われて冷たくされて……なんかマシーンみたいで」


「亮……頑張ったな!」


 ダンベルを置いた後にサムズアップされた。

 励まされながらトレーニングに没頭したのだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る