第12話水着
ついに夏休みが始まった。
とは言っても何にもの予定はないので家でゴロゴロしているとインターホンが鳴った。
誰だ?
宅配など頼んだ覚えがない。
それに俺の家を知ってる奴なんて…
…やっぱりか
愛莉だった。
…うん、居留守を使おう。
「彼方〜いるのはわかってるわよ」
ふっ、何を言われようと出ないぞ。
「合鍵持ってるから普通に入れるんだけどね」
……え?
ガチャ
嫌な音が聞こえたような…
「やっぱりいるじゃない」
「…なんで当たり前のように入ってくるんだよ」
「別にいいじゃない」
「よくねぇよ…そもそもなんで合鍵を持ってるんだ?」
「それは心白が持ってたから」
はい?
あのメイドなんで持ってるの!?
怖いって。
「ほら、行くわよ」
「は?どこに?」
「ふふ、それは行ってからのお楽しみ」
ちょっ…え?
♦︎
「お!九条さ〜ん!こっち〜!」
彰人がこっちに手招きをしている。
ちなみに今どこにいるかというとショッピングモールにいる。
「やっときた〜」
「ごめんなさい、彼方にちょっと手こずって…」
「全然大丈夫ですよ!」
俺のせいにされても…
仕方なくない?
何にも聞かされてないからな。
「なぁ、彰人」
「ん?どした〜?」
「これは何の集まりなんだ?」
「さぁ?俺も呼ばれてきただけだからさっぱり」
え〜、彰人も知らねぇの?
「何しにきたんだ…?」
「何ってそれは、水着を買いに来たのよ」
水着か…
そういえばプールに行くってなったな。
「とりあえず中に入ろうぜ」
「そうだな」
と言うことで、中に入った。
「涼し〜」
「外暑かったからね」
今日は三十度を超える猛暑だ。
まだ七月だと言うのに…
いや、妥当か。
「先に用事だけ済ませましょ」
だそうなので、水着が売っているところに来た。
男女で分かれている。
なので俺と彰人は男もののコーナーに来た。
とはいえ、男の水着なんて適当でいいだろ。
男の水着をまじまじと見たことがあるか?
ダサすぎたら見るかもしれないが。
「俺はこれでいいや」
「彼方はもう決まったのか?」
「決まったぞ」
俺は無地のシンプルな水着にした。
「彰人は?」
「俺はまだ」
何をそんなに迷うことがあるんだ?
まぁ、いいけど。
「彼方、どっちがいいと思う?」
そう言って見せてきたのが、ヒョウ柄の水着と普通のシンプルな水着だ。
「俺的にはヒョウ柄の方がいいんだけど」
おい、まじかよ。
「断然シンプルの方がいい」
「え〜、彼方とは趣味が合わないようだ」
その趣味は合わなくて結構です…
「一回履いてみるから見てみろ!」
そう言い試着室に走って行った。
シンプルの方がいいと思うんだけど…
「ほら、どうだ!」
試着室のカーテンが開き、彰人が出てきた。
…あれ?意外と似合ってるな。
彰人が無駄にイケメンだから似合ってるように見えてしまう。
いやでも、シンプルの方がいい。
「彰人、こっちも履いてみろ」
シンプルの方を渡すと「え〜、わかった」と言って試着室に入って行った。
「で、どうよ?」
「ヒョウ柄でいいと思う…」
♦︎
会計を済まして、俺たちは外で待つことにした。
すぐに終わると思っていたが、意外と時間がかかった。
「彼方、トイレ行ってくる」
「おう、いってら」
彰人が旅立っていった。
店の前にある椅子に座って待っていると、愛莉が来た。
どうしたんだ?
「あら、佐々木くんは?」
「トイレに行った」
「そう、彼方着いてきて」
なんだ?
とりあえずついて行くか。
「試着室の前?なんで?」
「渚ちゃんが入ってるから、見てあげて」
「…はぁ!?」
こいつ何言って――
「九条さん、どうか――え!?」
現れたのは、白いフリルのついた少し露出度が低めな水着を着た白石さんだった。
眼福です。
ありがとうございます。
じゃねぇ!!!
「え〜と…悪気はないんだ」
「そ、その…どうかな…?」
なぬ!?
俺に感想を求めてるのか!
な、なんていえばいいんだ…
どうすればいい、考えるんだ。
「とってもか、かわいいです…」
考えた結果がこれです。
笑いたければ笑えよ。
そうだよ、俺はヘタレだよ!!
「本当に!?へへ、嬉しい…」
な、なんだこの可愛さは!?
本当にこの悪魔と同じ人間か?
「何よ(圧」
「いえ、何も」
ば、バレてないよな?
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