第111話 力を示す、ってなんなのさ?

深刻なネタ不足により

更新お待たせいたしました。

今回の見どころポイントは

『シンバルキック』と『囀るな小僧』です

どうぞ宜しくお願い致します。

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「よかろう、そこまで言うのなら力を示すが良い!! 」



 鮫之介サメの暴言に反応して武器を構えた家臣たちを一旦引き下がらせ、鮫之介に訓練用の刃を潰した薙刀を投げる吉川元春。だが彼は、それをあろうことか自分の薙刀で叩き落として言い放った。


「おいおい、何の茶番のつもりだ? こっちはここに居る全員、ぶっ殺して刺し違えても構わねぇぐらいの覚悟で乗り込んできてんだ! 遊びに来てんじゃねえんだよっ!」


 また勝手な事を言いやがって。キミ個人はそうかもしれないけどね、こっちは殺し合いになんて来てるつもりじゃないし、もし間違っても『雇った用心棒が訪問先の武将を殺っちゃった』とか間違いなく国交問題になっちゃうんで止めてもらえないでしょうか?


 軽い気持ちで雇っちまったらトンデモねぇ奴だったわ。軍監と二人で止めに入るかどうか狼狽えていると、カンパチに手で制された。


「ご心配召されるな。ここはサメ殿の好きなようにやらせてみせましょう」


 むー、戦のプロであるカンパチが言うんだったら言う通りにするしかないけど、本当に大丈夫だろうか?一方の吉川元春もこちらがサメ1人しか武器を構えないのを見て状況を察したのか、

 

「そうか。城へ迷い込んだ哀れな猪なんぞに手加減を求める必要など無かったな。広頼ひろより元俊もととし元明もとあき、相手にしてやれ。生け捕りで構わん」


 とそう指示し、傍らに置いてあった銅鑼どらのようなものにほぼ飛び蹴りを入れる。それを戦闘開始の合図に毛利側は若手と呼んで差し支えないぐらいな年代の武者が3人でサメを取り囲んだ。


 こちらは真剣ではなく練習用の刀や槍を手にして、あくまで『無礼者を叩きのめす』といった雰囲気だ。それぐらいの話で収めてくれるとこちらも助かるんだが。



「たった3人で良いのか? この場に居る全員が相手だって構わないんだぜ?」

「ほざけ! 小童が!! 」


 サメの挑発に一人が強烈な勢いで突きを繰り出すが、サメはそれをひょいとかわし、もう一人の横薙ぎを自分の薙刀で受け止める。その隙を狙って木刀を持ったもう一人が胴を狙って走り込むが、サメは身体を反転させて距離を取り、体勢を立て直す。毛利側の三人は見ていても精度の高さが分かる見事な連携攻撃だが、それを一人でしのぎ切るサメもなかなかのものだ。


「アンタらも中々やるな。そこら辺の雑兵とは流石に動きが違う」

「黙れ! ちょこまかと猿のような奴め!! 」

「猿かい? そりゃあいいや♪ ついでにもうちょっと、ちょこまかさせてもらうぜ!」


 言うが早いか、サメは薙刀の切っ先を床に突き立て、その反動で跳ねるように1人の間合いに強襲して蹴りを加える。そのまま身体を回転させて遠心力を利用した一撃でもう1人を薙ぎ倒すと、残った一人に強烈な突きで切っ先を頸に当たるギリギリで止め、動きを封じた。


「勝負あったな。この程度じゃ俺は止められないぜ」

「ぐぬう……」


 頸に刃先を押し当てられた武者は刀を放り捨て、その場で座り込んで降参の意思を伝える。


 

「ほう、面白い。今の者達はこれでも毛利の次代を担う将たちであったのだがな。ならば経好、武を知らしめよ」

「はっ! 市川経好いちかわつねよし、いざ参る!!」


 

 叩きのめされた3人が広間から下がると今度は、吉川元春の斜め後ろに控えていた壮年の男性が槍を手に前へと出てくる。鍛え上げられた筋肉と肩幅の広さで威圧感が半端ない。これが魔王退治ならラスボス一歩前といった感じだ。


「ハン、ジジイは引っ込んでな」

「戦で負けて滅び、散り散りになった尼子を語るニセモノ風情が何をさえずるか」

「……黙れっ!!」


 軽口をたたいて挑発したつもりが痛いところを突かれたのか、勢いよく肩幅ジジイに突っ込んでいくサメ。だがその一撃はまるで子供の遊びをいなす様にいとも簡単に打ち払われ、重心を崩したサメの胴と後頭部に強烈な攻撃が入る。


「ぐはっ!」

「どうした?真剣勝負であれば今ので貴様の胴が離れておったぞ。遊びじゃないのではなかったか?」

「ほざけ……ちょっと頭に血が昇っちまっただけだ」


 ヨロヨロと立ち上がると薙刀を構えなおそうとするサメ。だがそこにデカい図体からは想像も出来ないような高速の一撃が繰り出され、サメは柱に叩きつけられて薙刀を取り落とし、その場に倒れ込んだ。並みのヤツだったらそのまま気を失って起き上がれないぐらいのダメージだ。実力が圧倒的に違い過ぎる。


 その後もサメは立ち上がり、フラフラと肩幅ジジイに向かっていくがその度に打撃を浴びて吹っ飛び、地面に転がるのを繰り返した。すでに勝負は決したというのに、だ。


 

「勝負はすでについたハズだ。この程度で尼子の再興を願うなど、片腹痛いわ」

「俺は……この有明月に誓ったんだ。必ず強くなって、尼子を滅ぼしてこの地を踏みにじったお前らから出雲を取り戻すと……」

「ふん、鹿之介めの逸話の真似事か?そのようなものは、こうしてくれる」


 肩幅ジジイは憎々しげにサメを見下すと薙刀を踏みつけた。薙刀は穂先が捻じれ、メキメキと柄にヒビが入る。


「俺の……有明月を」

「囀るな小僧! まだ分からぬか? 力を伴わぬ理想など何の役にも立たぬ。このナマクラ同様、貴様の様な無礼な若造など二度と槍を持てぬよう捻り潰してやろう」


 倒れたサメの肩口を狙って木刀が振り下ろされるが、それは肩へと突き刺さる直前にそれは軌道を変え、真横へと吹き飛んだ。

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お読みいただきありがとうございます。

とりあえず金土日更新分までは書けました。

なかなかに制作が滞っております><

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