第五話 辺境の街デン・ホールン
一行は、夕食の後、入浴してそれぞれの部屋に行った。
部屋は二人一部屋でジカイラとヒナ、ティナとルナ、ケニーは一人で部屋を使っていた。
ジカイラが入浴を終え、自分の部屋に戻り、ベッドに腰掛ける。
「ふぅ・・・」
ジカイラは、そのまま、ベッドの上に仰向けに寝転がる。
程なく湯上がりのガウン姿のヒナが部屋に来る。
「お疲れ様」
そう言うと、ヒナは寝転がるジカイラの傍らに腰掛ける。
ジカイラがヒナに話し掛ける。
「・・・疲れた。ラインハルトやハリッシュは、毎日、小隊の補給やら、経費の計算やら、こんなめんどくさい事やっていたんだな」
ラインハルトは、以前ジカイラが所属した小隊の隊長、ハリッシュは小隊の参謀役だった魔導師である。
ヒナが笑う。
「あはは。ジカさん、頑張ってるね」
「そうか?」
「そうよ。見ている人は、見ているから。ルナの事も面倒見ているし」
「ルナに何かあったら、エリシス伯爵を怒らせるからな。それに『オレの手落ち』って事で、ラインハルトの顔を潰すからよ」
ヒナは感心したように寝転がるジカイラを見詰める。
「下ネタや冗談を言っていても、ちゃんと、皆の事を考えているんだね」
「オレにできる範囲でな」
ヒナは寝転がるジカイラの上に覆い被さるように乗る。
「無理しないでね」
「ああ」
ヒナは、ジカイラの首に腕を回してキスする。
ジカイラはキスしながら、自分が上になるようにヒナと体勢を入れ替えると、ヒナの胸を揉む。
「あっ・・・」
ジカイラの愛撫にヒナが敏感にピクンと反応すると、ジカイラはハッとしてヒナの胸から手を離す。
「すまん。つい・・・」
謝るジカイラを潤んだ瞳で見詰めながらヒナが微笑む。
「いいよ」
そう言うと、ヒナは肩から羽織っていたガウンを下ろす。
手のひらサイズの形の良い双丘が顕になる。
「あんまり見ないで・・・自信無いから・・・恥ずかしい」
ヒナは羞恥から頬を赤らめ顔を背ける。
ジカイラは、再びヒナを抱くとキスする。
「んんっ・・・あっ・・・」
ヒナはジカイラの首に腕を回すと、頭を胸に抱く。
ジカイラが右手でヒナの秘所に触れると、ヒナは驚いたようにビクンと大きく仰け反る。
ヒナがジカイラに謝る。
「ごめんなさい。そこは、まだ・・・」
ジカイラは、ヒナの秘所から手を離す。
「お前の気持ちが固まってからで良い」
ヒナは俯きながら話す。
「怖いの。赤ちゃんが出来るのが・・・。赤ちゃんは欲しいけど・・・」
ヒナが続ける。
「始まったばかりの旅で妊娠して、貴方の重荷には、なりたくないから・・・」
そう言うと、ヒナは再びジカイラに抱き付く。
「こうして、ずっと傍に居たいから・・・。ごめんなさい」
「構わないさ」
二人はそのまま眠りに就いた。
-----
翌朝、ジカイラ達は宿で朝食を取った後、出発する。
北西街道は、
帝都ハーヴェルベルクから
景色も
ジカイラ達は、見晴らしの良いのどかな草原で一泊し、幌馬車を進める。
そして昼過ぎ頃には、周囲の地形は沼地や湿地が多く見られる低地へと変わり、夜の帳が降りる頃、辺境の街デン・ホールンに着いた。
辺境の街デン・ホールンは、物々しい雰囲気に包まれていた。
ジカイラ達が幌馬車で宿に向かう途中、自警団らしき集団とすれ違う。
ジカイラが傍らのヒナに話し掛ける。
「このデン・ホールンから『港湾自治都市群』の領域だが、何か物騒だな」
「そうね。道中、何も無かったけど」
ジカイラ達は宿に入る。
ヒナ、ティナ、ケニー、ルナの四人は、一階の食堂兼酒場の円卓で食事を取り、ジカイラは先のドローウェンの時と同じようにカウンターで酒場のマスターに酒を一杯奢る。
酒場のマスターがジカイラに礼を言う。
「ありがとよ」
ジカイラがマスターに話し掛ける。
「ちょっと教えてくれ」
「なんだい?」
「あの武装した集団は、何なんだ?」
「彼等か? この街の自警団さ。最近、
「
マスターの話にジカイラは考える。
知性はそこそこ。人間よりも腕力があり、戦闘能力も優れている。
見た目とは違って邪悪な存在ではなく、生命を脅かしたり、生息地の集落を侵したりしなければ、敵対することは少ない。
「さぁね。この街の偉いさんは、中核都市のデン・ヘルダーに援軍の派遣を要請しているらしいが、渋られて上手く行ってないらしい。だから、港湾自治都市群から脱退して、帝国に助けて貰おうと言い出す連中まで現れる始末さ」
ジカイラは会話を切り上げる。
「なるほどな。ありがとよ」
「あいよ」
ジカイラが仲間達の席に戻ると、ヒナがジカイラに尋ねる。
「何か面白い話は聞けた?」
ジカイラが答える。
「ああ。この街は、
四人が驚く。
「「
ジカイラが続ける。
「そうだ。今は自警団で対処しているものの、中核都市のデン・ヘルダーに援軍の派遣を渋られているようだ。」
ティナが尋ねる。
「他の街から助けが来ないの?」
ジカイラが答える。
「ああ。軍隊は金が掛かるからな。港湾自治都市群には余裕が無いようだ。この街では、帝国に助けて貰おうという者達と意見が割れているようだな。」
ケニーが口を開く。
「普通の街の人達に
ジカイラが呆れたように答える。
「冒険者ならともかく、一般人が相手をするのは厳しいだろう」
ルナが尋ねる。
「
ジカイラが答える。
「
ルナは興味津々で返事をする。
「ふぅ~ん」
ジカイラ達が、この街や
駆け込んできた男は大声で叫ぶ。
「大変だ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます