理想死追求者 

ヒーズ

理想死追求者 第1話 ~プロローグ~

「日比谷(ひびや)大輝(たいき)君、おめでとうございまぁ~す!貴方は神界抽選会にて転生転移

することが決定しました‼」


ああ、簡単に状況を説明しよう。

まず、今俺は転生することが決まった。

この女神?さんの話曰く、拒否権はないらしい。

が、加護やチートスキルとかの 転生?転移?特典 はなしで転生転移しろ、とのこと。

超鬼畜難易度転生・・・かと思ったが、違うらしい。

何でも、俺には無限の時間と自由な探求が与えられる。

簡単に言えば、好きなだけこの神界で修行してから異世界に行っていいらしい。

で、超高いテンションのこの方は先ほども言った通り、女神様だ。

付け加えるならば・・・


「私は、この神界で貴方の面倒を見ることになった、ネメシスと申しまぁ~す‼」


ネメシス・・・復讐の神だったか。

まともな神では、なさそう?

と言うか、この状況に動じていない俺も大概まともではないなぁ~(遠目)。

前世?の俺は人生の途中でドロップアウトした、元はどこにでもいる高校生だ。

死ぬ前までは通信制の学校に通って、暇な時間はアニメに漫画、小説にゲーム、好きなことをしていた。

まあ、現実に絶望していた痛い高校生と言う認識でいいゾ!

そんなどうでもいいことを考えていたら、ネメシスがどんどん話を進めていく。


「さて、では説明を始めますねぇ~・・・ああ、RPGみたいに何度でも説明するわけじゃないから。

一回しか言わないから、ちゃんと聞くんだゾ‼日比谷君」


ああ、この人、前世で俺が苦手だったぐいぐい距離感詰めてくるタイプの人?神?だ。

いや、俺の人間の好き嫌いのタイプの話はどうでもいいとして、ネメシスの話によると、さっきも言った通り時間は無制限。

それに、やれることもかなりある。

先に、行く世界を決められることもそうだし、魔法やその世界の知識も先んじて学ぶことが可能だ。

本当に、オープンワールド並みの自由度だ。

さらに、飯も睡眠もいらず、休息せずに研究や鍛錬を行うことも可能。


「まあ、現段階で説明しないといけないことはこれくらいかなぁ~」


そう言ったネメシスは続けて

「行く世界をぱぱっと選んで、好きなだけ修行をするといいよぉ~」

と言い、指を鳴らす。

すると、俺の目の前に幾つかの球体が浮かんできた。

よく見てみると、地球のように海と大陸が見え、俺の行く世界を見せてくれているのだと分かった。

そして、その球体に触ってみると、脳内に直接その世界の簡単な説明文が入ってきた。


エルファシル:地球と大差ない世界。と言うか、中世ヨーロッパに魔物と魔法を追加しただけの世界。

転生転移者ならベリーイージー。まさかプライドの高い君たちが行くわけないよねwwww。


ヘイゼール:魔法がとても発展している世界。でも、魔物はいないから、人間同士で永遠と戦争してる。

いつか滅亡するんじゃないかな?難易度はハードくらいかな?まあ、行くのは戦闘狂くらいでしょ。


etc


色々と読んでて思うんだけど・・・悪意と適当さが入り混じっている気がする。

そして、読み漁っている内に、一つ面白そうな世界を見つけた。


ファルラント:説明する前に忠告しておくけど、この世界はやめておいた方がいいと思う。

この世界は既に崩壊しかけていて100年200年の修行程度じゃ長生きできない。

魔ノ者と魔獣が台頭して、亜人や人類の多くが死亡。難易度は最難関よ。


と言うものだ。

今まで馬鹿にしたり、舐め腐った様な文章で説明が書かれていたのに、今回は一切ふざけていない。

が、この世界は『俺が転生した時にやりたかったこと』を実現するには最も適している。


「この世界にします」


謎の力で宙に浮かびながら仰向けに寝て、ふぁ~と欠伸している彼女に俺はそう言った。

「ああそう、でも、一度決めたら変更できないわよ?ほんとうにいいのぉ~?」

彼女はこちらを見向きもせずにそう言った。

俺は彼女に対して、ああ、と答え、この最難関の世界に行くことにした。

俺の回答を聞いた彼女は

「じゃあ決定ね!」

と言いながら、体を起こし、指を鳴らして他の球体全てを消し去った。

そして、俺と俺の選んだ球体を交互に見て

「えっ!?」

と驚く。

が次の瞬間、彼女は否定するでも肯定するでもなく、ただただ不敵な笑みを浮かべた。



ネメシス曰く、

「本や研究道具なんかの、能力を取得するのに必要な物は用意してあげる・・・と言うか、望めばこの空間が貴方に欲しいものを与えてくれるわ。でも不必要なモノは用意しない。まあ、それを判断するのはこの空間だから、貴方には関係ないわ」

とのこと。

まあ、習うより慣れろと言うし、とりあえずは試してみよう。

俺は頭の中で椅子と机をイメージしてみた。

結果、出てこなかった。

続けて、魔法に関しての情報が載っている本を要求してみた。

結果、出てきた。

なるほど、本当に探求と鍛錬に役立つ、もしくは必要なモノしか出てこないらしい。

とりあえず、最初は魔法を極めてみようか。

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