トネリコ・イン・ミラーワールド〜普通を装う女子高生、並行世界で本気を出す〜

零話 御伽噺

 

 ねえ、知ってる ?


 知らない知らない! 知りたいな! 


 ならならなら、教えて上げる! 鏡の世界の噂話! 


 最近流行りのコソコソ話! 


 夜の学校暗くて陰湿! 


 そこの三階! 大きな鏡! 


 夜にそれに手を置くとあら不思議、他の世界の自分が鏡の世界に自分を手招き。


 二度と帰らぬ片道切符! 


 怖いね! 怖い!


 でもね! でもね! そこはとっても幸せだって! 行った人が言ってたよ!


 片道切符なのに帰って来た人が居る? それって普通におかしくない? 


 本当だ!? 本当だね! それじゃあ! これは嘘っぱち! なんだつまらん飽き飽きしちゃう! 


 大きな鏡の目の前で双子の少女は踊りながら喋っている。

 彼女らは画面に映る血の池を見ながらケタケタ楽しそうに笑っていた。


 血の池の周りには大量の人の亡骸と彼らが携えたであろう武器。


 しかし、その血の池の中心には黒髪を血で赤く濡らした黒龍の様な人が一人、涙を流しながらその場に佇んでいた。


 そんな男とは裏腹に画面越しでは双子が楽しげに再び喋り始める。


「ふふふ! 彼が今回の勝者だね! 」


「そうだね! そうだね! そうかもね! 」


「ならば始めよう! 解放の儀を! 」


「ならば始めよう! 終末の儀を! 」


「「始めよう! 数多の世界の創生を!! 」」

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