太陽と月

ゆ〜

第1話 いつも通り

「昨夜未明、東京都歌舞伎町〇〇で女子中学生が頭から血を流して倒れているのが発見されました。すぐに救急車で病院に搬送されましたが、死亡が確認されました。司法解剖の結果、女子中学生は薬の多量摂取によって――」

ああ、また流れてる。親の見ているニュースの前を素通りして、何も言わずに玄関を開けて学校に行く。今日の天気は綺麗な晴天で、これが日彩には似合う空だなと思う。「私」には重すぎる制服とローファー。いつもの駅といつも電車にいる高校生。全てがいつも通り。これが何気ない日常いつも通りってやつなのか。

「……めんどっ」

 ガンガンに冷房が効いた電車で通勤ラッシュ。奇跡的に空いていた席に深く座り込む。目を瞑り、今朝のニュースを思い出していく。女子中学生...歌舞伎町...薬の多量摂取...頭からの血...死亡。要するに死因はオーバードーズ(OD)だ。違法薬物じゃないから中学生でも全然買えるし値段も張らず、一般の市販薬だからゴミさえどーにかすれば親にバレても大丈夫。こんな、学生にぴったりな方法を生み出してくれた先輩方に本当に感謝だ。そういえばもうすぐ切れ――

「おっはよー!春霖しゅり!」

もう日彩ひろの乗る駅か。

「ねーえー、寢てんの?」

「あー、起きてるよ。あんたは変わらず元気だねぇ。」

「おばあちゃんみたいなこと言わないっっ!私達、華のJKだよ!?来年は受験生だし、JKを楽しめる最後の夏だよ!」

「君は、何が言いたいんだろーなぁー?」

元気な私の親友は、校則なんてお構いなしとでも言うようにバッチリメイクをしてきてる。

「べつにぃ?そんな長袖なんて着て露出なしとか意味わかんないとか、思ってませんしぃ?」

「心の声聞こえてますよー(笑)」

「えぇー?春霖がエスパーなんじゃないの?」

 ああ、いつものノリだ。だから、

「そんな訳あるか!」

私はすぐさまツッコミをいれる。そんな馬鹿みたいな会話をしながら時間は過ぎていく。そんな時でも頭の片隅にあるのは、「私」の嫌なところ。どうしても拭いきれない嫌なところは、暗いところは、名前から来ているのだろうか。私はいつかみんなに「私」を見せられる日が来るのだろうか。学校にいるときは隠す、日彩といる時だけ忘れられる、ただこれだけのこと。自分に言い聞かせるように考えながら、日彩との会話を考える。普段通りに生きていく。

「すごいね」

「さっすが春霖!」

「羨まし〜」

教室に着くなり皆んなが口をそろえて私に声をかけた。何がなんだか分からなくって困惑していると梨愛りあが言った。

「春霖さ、悠翔はると先輩から――


〜1話end〜




読んでいただきありがとうございます。

初めて書いているものなので、文章の書き方などおかしなところがありましたら、温かく見守ってください。出来ればコメントでおっしゃっていただけると嬉しいです!

第ニ話はいつ出すか未定です。正月には公開出来れば良いなと思っております。

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