4.脱出。だがその前に戦闘だ。
『やっと見つけた突破口。絶対に脱出してみせる』
少女の残した言葉をヒントに見つけた突破口は、口がやや外れかかっている通気口だ。
幸い、口はもう少し力をかけたら外れそうで、そんなに手間はかからなそうだ。
脱出の準備をする前に、部屋の監視カメラを破壊する。カメラを破壊したらアラームが鳴るかと思ったが、鳴らなかった。とはいえずっと気づかれずにいることは無理だろう。できるだけ手早く終わらせなければ。
近くのミニテーブルを寄せて通気口の下まで持ってくる。その上に立って、通気口の口を小刻みに動かしながら外す。ぱっくりと空いた穴に飛び込む。こちらには3年間
通気口内部に手をついて、腕の力で体を引き上げ何とか通気口に入れた。そのままほふく前進で進む。光が見えるまで進む。ある部屋から光が漏れていたが、下から話し声が聞こえたため、降りられなかった。そのまま進み続けると、行き止まりについた。その下は部屋になっていてまた光が漏れている。さらに、人もいないようだ。使われていない部屋なのか通気口の口も錆びついて一部が欠けている。絶好の機会だ。私は口の脆くなった部分を思いっきり殴りつけた。
割とあっさり檻が崩れ、私は下の部屋に飛び降りた。
何もない部屋で、壁がひび割れている。先程飛び降りた衝撃で足首が少し痛い。さすっていると、急にドアが空いた。
部屋の中に3人の敵兵が入ってくる。両手に鉄バットを持っており、こちらを気絶させる気満々だ。
(これは、うぅ…まさか、ね…くぅ…)
「脱走者よ。今なら選択肢を与えよう。抵抗せずに無傷で帰るか、我らにいたぶられてから帰るか」
3人のうち、中央に立っていた男が告げる。
私は、その場にしゃがみ込んだ。
「ん?それは何のつもりだ?抵抗しないなら両手を上げろ」
「まさか我らに恐れをなしたか!悲しさで声も出ないか!はっはっはっは!」
男共がぎゃあぎゃあと喚いている。
しかし、3人の方を向いた私の表情を見た途端、喚きは消え顔は青くなった。
「な、なんだ…こいつ…笑って、やがる」
そう、私は悲しいからしゃがみ込んだ訳ではない。
いかにもおもちゃのような鉄バットで私を倒そうとし、挙げ句の果てに勘違いして醜態を晒しているのを見て、笑いが堪えきれなかったのである。
というか、政府の精鋭を倒すなら鉄バットなんておもちゃではなく、ライフル、最低でも刃物はなくては。
…そろそろ抑えられなくなってきた。戦いたい。自然と笑みが零れる。何もしていない相手を蹂躙するのは嫌いだが、今は仕方がない、理性にはそう言い訳して格闘技の構えをとった。
『さあ、誰からでもいい。来い。私は戦いたくてうずうずしてるんだ。お前達が私を楽しませてくれることを望むよ』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます