第111話 特級C討伐:シルバベナード
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コハル・カグラザカ
好感度
25/100
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コハルと依頼をこなし始めてから1週間ほど経ったが、コハルの好感度は微増、という感じだ。
話してる感じはだいぶ打ち解けてきたので、もっと上がっててもいい気もするが、なかなか上手くいかないものだ。
なにか突破口はないだろうか。
頭を悩ませていると、攻略さんから新しいアドバイスが表示された。
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明日、クルーセオ鉱山にて、ピーちゃんの様子に気を配り、
ピーちゃんが行きたそうにしているところに連れて行ってあげてください。
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ふむ?
オレが攻略したいのはコハルなのだが、またしても表示されたのはピーちゃんに関するアドバイスだった。
なんだか、ピーちゃんの好感度がどんどん上がっているような気がする。
だから、これってコハルの攻略になにか関係するのかな、とちょっと疑ってしまう。
いや、でも、今までもピーちゃんがきっかけでコハルと仲が深まった場面は何度もあった。今回もそういうイベントが起こるのかもしれない。
そこまで考えて、オレは明日に備えて眠ることにした。
♢♦♢
-デルシアの冒険者ギルド-
「特級Cの依頼?本当に大丈夫なの?」
「うん、ライたちなら問題ないよ。ボクもいるし、無理なく倒せると思う」
コハルはそう説明するが、受付嬢兼コハルの友達のルカロさんは心配そうにしていた。
「ステラは、たぶんボクと同じくらい強いから大丈夫」
ルカロさんを説得するためか、コハルがそんなことを言った。
「ステラさんが?そうなんですか?」
「どうなんでしょう?」
話しかけられたステラは首を傾げていた。自分の強さについて無頓着のようだ。
「まぁ、もし危なくなったら、全員で撤退するので心配しないでください」
内心、オレたちなら大丈夫だと思っているが、ルカロさんを安心させるために安全策を伝えておくことにした。
「はい…そこはお願いします、絶対」
やはり、友達が危ない依頼を受けるのは心配だよな。
「大丈夫、みんなで協力するから」
「…みんなで協力って…コハルがそんなこと言うなんて、意外だね。昔みたい」
「そうかな…そうかもね…」
「…わかった、気をつけてね」
「うん、ありがとう」
♢♦♢
-クルーセオ鉱山 深部-
今回の依頼は特級Cということもあり、今までで1番深いところまで潜ってきていた。
距離があるため、行きの道すがらも一度休憩を挟み、深部まで到達する。
「今回の討伐対象だけど、さっき話したとおり土魔法を使ってくる。地面だけじゃなくて、壁や天井にも気をつけて」
「わかった」
討伐対象は、シルバべナードという鹿型のモンスターだ。
大きさはデカめの鹿と変わらないということだが、全身が銀色で物理攻撃に強く、土魔法を操るということだ。動きもそれなりに早いらしい。
「基本的には、ソフィアとティナの火属性魔法でダメージを与えよう」
「わかったわ」
「了解なのじゃ」
弱点は火ということなので、前衛で足止めして火炙りにする作戦でいく。
話しながら進んでいくと、開けた場所に出て、壁から生えている水晶を舐めているシルバべナードを見つけることができた。
「みんな、いけるか?」
静かに声をかけるとみんなが頷いた。
「じゃあ!作戦通りに!」
言いながら前衛3人が走り出す。
敵にはすぐに気付かれた。
まずはステラとコハルの一撃。それをそいつは頭の大きな角で受け止める。
「硬いですね」
ステラがいいながら、横に飛び退く。
コハルは反対サイドに移動した。
オレが正面、3人で囲んでいる状態だ。
「いくわよ!」
ソフィアの掛け声と共に正面のオレがコハル側に寄る。
「フレイムストーム!」
ソフィアの魔法が放たれるがやつは優雅にかわしてしまう。
そして、反撃がやってきた。やつの角が光ったと思うと、そいつの足元からロックスピアーのような石の槍が生えてソフィアの方に向かっていく。
「大丈夫!避けれるわ!」
ソフィアはその攻撃を避けることはできたが、すぐに天井からも槍が降り注いできた。
「くっ!」
その槍をオレとコハルで破壊する。
「ソフィア!気をつけて!」
コハルが少し強めの口調でソフィアに注意を促す。
「わ、わかってるわよ!」
「ティナ!少し待って!」
攻撃を放とうとしてるティナを一旦静止させる。
「3人で切り込んで足をとめる!そこを狙うんだ!」
「わかったのじゃ!」
言いながらすぐに駆けていき、3人で挟みこんだ。。
3人分の剣圧を角で受けたコイツは、
「グルル……」と不快そうな鳴き声をあげる。
「よし!ティナ!」
「精霊よ!フレイムストーム!」
魔法が放たれるのを待って、3人同時に飛び退いた。
ティナの魔法がやつに直撃する。
「キィィィ!」
やつは高音の叫び声を上げている。効いているのは確かだが、倒れる気配はない、健在だ。
やつは炎に包まれながらも角を光らせて、ティナにロックスピアーが放たれる。
それをステラとオレでカバーする。
「ティナ!こっちに!回復します!」
「すまぬな!」
ソフィアのMPを回復し終わったリリィから声がかかった。
さぁ、どう戦うか、このまま同じ戦法でも倒せそうな気がもするが……
そう考えていると、
「ピーちゃん!力を貸して!」
「ピー!」
コハルが叫ぶと、後ろの方に避難していたピーちゃんがコハルの前に飛んできて、コハルの双剣に炎を吹きかけた。
「な!?なにしてるんだ!」
「大丈夫だから!見てて!」
ピーちゃんに炎を吹きかけられた双剣はみるみるうちに赤く染まり、炎を纏ってゴウゴウと燃え出した。
そして、それに同調するかのように、コハルのポニーテールが赤く染まっていく。
「2人はカバーを!」
「わ!わかった!」
内心、なにそれカッコいい!!!
状態だったオレは、コハルの要求にワンテンポ遅れてしまったが、すぐに走り出す。
駆け出すコハルの前をオレとステラがいき、炎が消えかかっているシルバべナードを切りつける。
さっきと違って、刃が入った。こいつの体は、炎で柔らかくなるようだ。
「いっくぞー!!」
オレたちの後ろにいたコハルが大きく上に飛び上がり、両腕を思い切り振り上げて、奴の首元を切り付けた。
決着。
奴の首が胴体から切り離される。
「ピー!」
強敵を倒したのを見てか、ピーちゃんが嬉しそうにコハルの頭の上を飛び回った。
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