第89話 うちの魔女っ娘に似合う服
商談の後、ディグルムから竿とリール、釣具の試作品を受け取って、ガルガントナに帰るのを見送った。
帰り際に「建物は2ヶ月で完成させます」とディグルムは言ってくれた。
敏腕で助かる、完成するのが楽しみだ。
みんなにも、2ヶ月後には建物が完成するよ、と伝えるとすごく喜んでくれた。
あとは、あの人たちを雇えるかどうかだな。
♢♦♢
建物の基礎工事がはじまったころ、ステラからガルガントナに行きたい、という申し出が出た。
食堂で使う道具や食器、それに子どもたちの生活用品を揃えたい、というのが目的なのだと言う。
たしかに、ウミウシでは品数も少ないので、ガルガントナに行けばなんでも揃うだろう。
それに、少し早いが、ガルガントナで話しを通しておきたい人たちもいるので、ちょうどいいなと思い、ステラの要望をのむことにした。
オレたちは、全員でガルガントナに移動することとなった。
♢♦♢
子どもたちも全員連れてきて、馬車でガルガントナに到着した。
町についたら、まずは宿の確保だ。今回は1週間ほど滞在するつもりなので、その期間の宿を2部屋分、確保した。
「じゃあ、それぞれ必要なものを揃えようか」
そういうと、子どもたちは、ステラとティナのグループに分かれて出かけていった。
ステラは、カイリとキッカを連れて食堂に関する道具を、
ティナは、ユーカ、トト、ノアールを連れて釣具店の雑貨を買いに行くらしい。
「残ったのはオレたち3人だね」
リリィとソフィアに話しかける。
「そうですね、どういたしましょうか?」
「ん~、そうだな。ちょうどいい機会だし、今日はソフィアの服を選びにいってもいいかな?」
「ホントに!うれしいわ!」
「いいですね。では、わたしはお留守番してますね」
「ううん!リリィも一緒にいこっ!」
「いいんですか?せっかくのデートに?」
「今日は3人で遊びましょ!」
と、いうことで3人でソフィアの服を選びにいくことになった。
♢
3人でガルガントナの商店街を見て回る。ガルガントナには店も露店も沢山あるので、なかなか見応えがある。
「やっぱ、ソフィアには可愛い系の服がいいなぁー」
何店舗か見たけどピンとくるものがなかなか見つからない。
「そう?ライが選んでくれたらなんでも嬉しいわよ!」
「かわいいなぁ、よしよし」
セリフと連動して頭を撫でる。
「えへへ」
「なんだか、3人でというのも久しぶりですね」
「そうだよね、あ、」
オレはふと、ある店が気になった
「ちょ、ちょっと、あれは派手すぎない?」
「うん、そうなんだけどさ」
オレが見ているのはゴスロリ服の店だ。かなり派手派手である。
ジャンクじゃないわ!と叫び出しそうな服が並んでいた。
でも、あぁいう服を少し改造すると…
「ちょっと入ってみてもいい?」
「えぇ?ま、まぁ見るだけなら…」
2人とも、さすがにあれはない。という顔だが、なかば無理矢理に店に入る。
「いらっしゃーい、あら、可愛いお嬢さん方、うちの服が似合いそうね」
そこには太っちょのおばさんがゴスロリ服を着て佇んでいた。
正直きつい。
「あの、ここってオーダーメイドって出来ますか?」
「えぇ、できるわよ~。どんなイメージで作りたいとかって決まってるのかしら?」
「あー、あるにはあるんですが、伝えるのが難しいので、絵に描いてまた改めて来ます」
「はーい。またいらっしゃいね、ぼうや」
よし、オレのイメージ通りに作ってもらえれば、いける気がする。
店を出て、オレがわくわくしていると、
「ね、ねぇ、わたし、あれは着たくないわ……」
不安そうなソフィアがくいくいと袖を引っ張ってきた。
「だよね。もちろん、あれは着せないよ。ちょっとオレのイメージしてる服の素材に似てたからさ。
今度ノアールに絵にしてもらうから、それをソフィアが見て、着てもいいって思えたら、オーダーしてもいいかな?」
「うん、それならいいわよ」
「ありがとう。ソフィアに似合う可愛い服を作るからね」
「うん!期待しててあげるわ!」
「よかったですね、ソフィア」
結局その日は、これだというものが見つからなかったので、町をぶらぶらして宿に戻ることにした。
♢♦♢
翌日、オレのイメージをノアールに描いてもらう。
「パパ!できたよ!ソフィアねぇの服!」
「すごい!ありがとな!ノアール!
ソフィア!これなんだけど!どうかな!」
「かわいいわ!これなら着たい!」
「そっかそっか!じゃあ!オーダーしにいこう!」
「うん!」
そのあと、太っちょゴスロリおばさんの店にいき、服のイラストを渡して、ソフィアの身体の寸法を測ってもらう。
完成は3日後とのことだ。楽しみである。
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