才能銀行

@k0905f0905

第1話

ここは異世界の四丁目十一番地。

アダシは寒風の吹き抜ける

あばら家で正月をひとりで

過ごしていた。

アダシは二万十五さいのふとっちょブチャイク、今まで

二万十五年間、一度も仕事に就いたことがなかった。

「うーっ、さみいい」

アダシはガタガタと震えながら

隣の家から盗んできたカビの生えた

もちでつくったお雑煮を食べていた。

「年賀状でーす」

そのとき郵便配達マンが年賀状を

一枚放り投げてくれた。

「どれどれ、だれからめでたい新年の

挨拶が届いたんだ」

アダシがはがきの裏を見ると、

(凶)

とだけ印刷してあった。

「こっ、これはまたメデタイ。クリスマスと

正月がいっぺんにきたような」

アダシはちゅうちょせずに

はがきをビリビリにした。

「いったい、だれだ、もうー

縁起でもない」

「年賀状でーす」

「今度こそめでたい内容か」

「オマエの家を三日以内に爆破する」

年賀状の裏にはそう印刷してあった。

「おっかしいーなあ、だれにも恨みかった

覚えはないんだけど」

「年賀状ーーーーーっ」

「今度こそ」

「オマエのカアチャンでべそ」

「なんで家出したオフクロの重大な秘密を

知ってるんだろう」

アダシが首を傾げた。

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