第41話 王都到着!

 リリスたちはすごい便利な魔力サーチという魔法を女性冒険者に教えてもらい寝る前まで練習していた。


 「魔法を使いすぎると倒れちゃうから、そこまでにしようね?」

 「はぁい」

 「これで無属性の魔法のきっかけ作りは終わったから、必要ステータスが揃ってるなら後は魔力循環していけば他の魔法も覚えていくよ」

 「はぁい。ありがとう」

 「ご飯のお代になったかな?」

 「十分ですよ。ちなみに風ってどうするんでしょうか?」

 「ごめんね。私、風持ってないから知らないんだ」

 「大丈夫です。ありがとうございました」


 魔法の練習が終わり、それぞれ寝る場所を決める。リリスとリンも今日は魔力いっぱい使ったので一緒に寝る場所を決めるとすぐ寝てしまった。御者は何も言わずに魔物避けをセットしていたらしく、リリスたちはぐっすり眠ることができた。

 朝になり、みんな起きてくる。


 「おはよ」

 「おはよ~」

 「王都着くまでになんとか魔力サーチのコツ覚えないとね」

 「うん。王都広いだろうしね」

 「うん。誘拐されても王都にいる限り見つけれるようにね」

 「普通に使うと魔力持ちがいっぱい表示されるから、特定の人見つけたいなら魔力の特長をよく思い出して使ってみてね」

 「はぁい。ありがとう」


 リリスはパンと果実を取り出し、リンと冒険者2人にも配り一緒に朝ご飯を食べた。ゴトゴトと馬車は進み、王都に近づいていると思うとリリスはなにやら考え込み始めた。

 (結局、王都に来るまでベイン男爵ぐらいしか情報なかったな…ティムちゃんがベイン男爵と関係ない奴隷商人に拐われていたら、ティムちゃんにたどり着ける情報無くなっちゃうなぁ)


 少し時間が経過し…お昼頃。ついにイスラント王国、王都サレンに着いた!

 王都の門入り口前で馬車を止め、冒険者2人とリリスたちが降りていく。


 「ご飯ありがとね」

 「いえいえ、便利な魔法ありがとうございます」

 「じゃここで。またね」

 「はい。また~」


 冒険者たちとお別れし、リリスたちにとっての難問がやってきました。


 「リン?2人別行動になる可能性もあるから、私の魔力の特長ちゃんと覚えて」

 「うん。私の魔力もちゃんと覚えてね」

 「うんうん」

 「さぁ行くよ?」

 「うん」


 2人は王都の門兵がいる場所へ行き…

 「入っていいですか?」

 「ギルドカードお願いします」

 「はい」

 「リリス…ナーレの領主様がギルドに依頼してた魔族のリリスか?」

 「ええ、そうですが?私は何も悪いことしていません。捕まえますか?」

 「いや、捕まえろ!とまではまだ出ていない。だが見つけろ!とは出ているためギルド又は関係各所には報告させてもらう」

 「わかりました。ちなみに私って懸賞金かかってたりしますか?」

 「国からはかかってないが…依頼者からはかかっているかも知れない。とだけ」

 「わかりました。では入らせてもらいますね」

 「安全の保障はない。捕まえろ!に変わればすぐ向かうがいいか?」

 「はい」


 なんとか王都の門を通れたリリスたち。


 「国からはかかってないか…ナーレ領主がお金出していたら、お金目当ての人が出てくるかもね」

 「そうだね…」

 「さっさと奴隷売買してるとこ探そう」

 「うん」


 すごい人混みの中、2人はきょろきょろしながら奴隷売買してそうな裏道やスラムの方にも行ってみる。

 スラム街を歩いていると……いきなり目の前が真っ暗になり、誰かに担がれた!


 「え?え?誰か!!助けて~!!リン!!リン!!」


 ピチャン…水が垂れる音がする。


 「ん…う~ん」(いつの間にか気絶してたみたい)


 目を覚ますリリス。


 「ここどこ?リン!リーン?」呼びかけるがどこからも返事がない…。

 「あっ!こういう時こそあれだ。リンの魔力の特長を意識して…❮魔力サーチ❯」

(あっ!光った!近いみたい…ん?隣の部屋?私たち誘拐されて監禁されちゃったのか…なんとかリンと合流したいな)


 「とりあえず…今いる場所の確認しなきゃ」

(明かり取り窓、扉、木造の小さい部屋、家具は何も無し、ポーチは取られてない)


 「リンの反応があるのはこっちだったかな?」

(カベをドンドンとノックする…返事はない)


 「あとは…ここが地下かどうかよね?窓から何か見えるかな?明かり取り用だから小さいけど子供の私なら…知らない場所だけどどうやら地下ではなさそうね。あれ、どう見ても空だし…」

(ずっとここにいるのも危険だし…仕方ないか…)


 「❮ファイヤーウォール❯リンがいると思われるカベの反対側なら…すぐには火回らないよね…」


 ファイヤーウォールの火はリンがいる反対側のカベを真っ黒に焦がし、木造のカベをもろくしていた。


 「ここね!助走つけて思いきりキック!」


 キック1発では壊せなかったが…リリスの頭の中に❮身体強化❯が浮かんできた。


 「いいね~!❮身体強化❯助走つけて思いきりキック!」


 ファイヤーウォールで焼かれもろくなったとこに、身体強化キックでカベは見事に壊れ小さな穴があいた。

 あいた穴を覗いて見ると…小さい女の子が2人気絶し監禁されていた。貴族のようなキラキラふわふわしたドレスを着た子供と、平民と思われる布の服とスカートにエプロンを着た子供。


 リリスは❮身体強化❯を使い、あけた穴を広げ子供が通れるくらいの穴にして…気絶している2人の側へ駆け寄っていく…。

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