ブログ「eternal」より

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四月二十七日(水) 投稿者 : ミオ


音楽番組のランキングのコーナーで、一瞬D’ARCが映った。D’ARCが出るとわかっている時はチャンネルを回さないようにしているのに、ランキングまでは思いつかなくて、うっかりした。だけど僕は本当は守屋ユヅルが今でも好きだから、ちょこっとでも見られたのは嬉しかった。あいかわらずかっこよかった。

でもモリヤはやっぱり機嫌が悪くなって、また夜中に出掛けてしまった。モリヤが出て行く時間には僕はもう眠っているが、モリヤがどれだけそうっと出て行こうとしても僕は廊下を歩く足音で目が覚める。そしてバタンという扉の音、ガチャッと鍵がまわる音を夢うつつに聞いて、涙が出そうに悲しくなる。

家の中にモリヤがいないと心細くて、死んじゃいそうに寂しい。家族のなかでモリヤだけ誰とも血がつながっていなくて、僕とモリヤも実のきょうだいじゃないけど、僕は生みの親よりもモリヤを近く感じる。モリヤが出掛けたあと、取り残されてベッドに潜っているとだんだん目が冴えてきて、いろんなことを考えてしまう。クラス一背の低い彩香が、リサとガスパールのポーチを持ってお手洗いに行くのを見た。二番目にチビの僕も、今年に入ってだいぶ背が伸びた。育っているのは身長だけだと思いたい。お風呂に入って自分の体を見るのが、毎晩こわい。今日は大丈夫だった、アレはまだ来ない、と思ってホッとする一日の終わりに、だけど明日は解らない、と思ってこわくなる。

……月曜の夜はそんなことをぐるぐる考えて眠れなかったせいで、学校では一日眠かった。帰りに、モリヤはいったい何処で夜を過ごしているのだろうと思いながら、何となく新宿に寄り道したら、紀伊國屋書店でディイさんとバッタリ会った。全身アリスアウアアで、蜘蛛の巣のように繊維を絡ませたカットソーに、黒ラメのスキニーデニムだった。ディイさんは怖いくらいの美形で、僕は正直とても怖い。怖いのに、ディイさんと少し歩いて、喫茶店でお茶まで飲んでしまった。何の話をしたか、あんまりよく覚えていない。家はどこなのかとか、親のこととか、世間話だ。ディイさんは毒々しいぐらい真っ赤なローズヒップのお茶に、小瓶に入れた赤い液体を垂らして飲んでいた。『ポーの一族』で、エドガーとアランもバラの香料を入れたお茶を飲んでいたなと思い出した。

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