ファッション
柳川麻衣
ブログ「血と無為」より
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このサイトに書かれていることは全てフィクションです。
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四月十八日(火) 投稿者: 守屋
オークションで手に入れた『残虐行為展覧会』を居間のソファに寝そべって読んでいたら、義母にうっかり書名を見られ、なんでそんな怖い本を読むのかと咎められ、適当にあしらっていたら泣かれました。
美しいのに。頁を眺めているだけでうっとりするのに。
まあ、義母はハリウッド映画の「ヴァン・ヘルシング」を見ても何て残虐なの、とか騒いじゃう人なのでいいとして、Mにもあまり理解されなくて残念です。Mは、人が死ぬのは怖くて嫌だ、そういうことはとにかく何もかも嫌だ、と言います。
昨夜も、余命いくばくもない病人のドキュメンタリーを見ながら欠伸をしたら、目に涙を溜めたMに睨まれました。ああいうTV番組って、コメンテーターがよく「生きられる人はそれだけで幸せ、命を大事にして欲しい」と涙ながらに訴えていますが、あたしの余生でよければ差し上げたいって本気で思ってるのに、そういうことを言われても困るわけで。
それにあたしは今のところ余命宣告されていないというだけで、目に入れても痛くないほど愛している子どもとか、甲斐甲斐しく世話をしてくれる配偶者とか、葬儀で泣いてくれる友だちとか、あたたかい日々の思い出とか、何にも持ってない。痛いのは辛そうだから同情するけどね。
ともかく、あたしは死ぬことや血を見ることより、今日が昨日と同じだったように、今日と同じ明日が来て、死んでいないというだけで生きてもいないような状態が何十年も続くことのほうが、怖ろしいです。
さて、出掛けます。週末の準備をしなければ。
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