第5話  続けること

 継続は力なり。これは間違いなく言えることです。


「んなこたぁわかってんだよ!」 と皆さん思われるでしょうけど、これは言葉だけで理解するのではなく行動の原動力にしてください。好きでやってることならそれだけで糧になります。もちろん、漫然とやっていると付く力があまりないですが、それでも毎日毎日何かを書いていれば絶対に文章は上手くなります。スライムでも毎日倒していたら少しはレベルが上がりますよ。それと併せて何かを読むことは必須でしょうね。自己完結は無理です。モチベーションを保つための自己暗示として書き続けている人は『継続は力なり』 を胸にしてください。


 と、プロの物書きに教わりました。上記の話はおそらく誰もが聞いたことがあるでしょうが、これ以外に道はないのだと思います。ストーリーラインの組み立て方については私が語れるほどのものはないですが、完成にあたっては『起承転結』は意識した方がよいです。

 実はこの一連の創作論的なナニカを書くにあたっては『結起承転結』を意識しつつ書いています。小説を書くテクニックとしてというよりは論文や報告書を書く時に使う技術ですが。結論を先に書いてからそれを起点に結まで持っていくというのは文章を書いてこなかった人、例えば私の職場に入ってきた新人は大抵出来ていなかったですし、ベテランと呼ばれる人でも全くできていない人は居ました。自分ですら山のような仕事に忙殺されていた時は報告書としての体すら怪しいものです。今も上手く出来ているかは自信はないですけどね。


 ただ、小説にせよ仕事の文書や論文にしても書き殴ってから整えるタイプの人も居ますから最初から起承転結を意識して書くと詰まることがあるかも知れません。書き方に正解はないと思うのでとにかく単語からでも書いた方が良いのでしょう。日本語は世界的に見ても異常に難しい言語です。だからこそ表現の妙が生まれるところもあるのでしょうけども。3話で書いたように文章は宝石のようなものです。どのような宝石になるかは個人次第。同じテーマで書いてもダイヤのように燦然さんぜんと輝くものもあれば、ホワイトオパールのように柔らかくも様々な彩りのある白いもの、ヘマタイトのように真っ黒だけど傷が付くと赤いような不思議なものまで、表現は人によって変わるものです。

 価格の違いを無視すればどれが好きなのかは完全に好みでしかありません。これを読んでいる方がどのような文章を書かれるのかはわかりませんが、あなたの文章が好きな人は必ずいるでしょう。

 書き続けるということは宝石として磨く技術、つまり見る人に自分の伝えたいことを綺麗に見せる技術に繋がります。天才と呼ばれる作家はそれが本能的に出来るのでしょうが、技術は正しく訓練すれば向き不向きはあれど誰にでも出来るものです。


 技術として上達するにはフィードバックを受ける必要はあるので誰かに推敲してもらうというのは必要です。しかし、これが非常に難しいです。見てもらう人は選んだ方が良いと思います。自分の文章や作品のダメ出しを受けるということですからね。


 カクヨムでとある作品の応援コメントを見ると辛口を過ぎて暴言を受けているものを見ましたが、その作者さんは暴言は無視して作品を書き続け、結果として高PVと高評価を得ています。内心かなり傷付いているんじゃないかと思いますがそれでも続けた結果、その作風やストーリーが好きな人に届いたからこそでしょう。


 応援コメントで暴言は控えて欲しいと思います。応援をする意味で誤字や表現の誤りを指摘するまでは良いでしょう。誤字誤用報告については、私個人として正しく応援だと思います。ですが、「小学生からやり直せ」 みたいなコメントを書く人は国語と道徳の授業を小学生からやり直した方がいいと思います。『応援』の意味を辞書で引いてその内容を1000回くらい紙の原稿用紙に書き写してきたらいいのに、と。自戒としても応援コメントを書くなら作者さんへの配慮は忘れないようにしたいです。



 以下、創作から離れますので興味のない話なら読み飛ばして頂いても構いません。

 『続けること』というテーマで思い出したことがあります。

 私はゲームが好きです。格闘ゲームは上手くはないものの、ゲームセンターに昔はよく通っていました。とある対戦ゲームでは大会なども出たりしたのですが、やり込んだゲームでも中堅どころか中の上あたりのランクで行き詰まりました。普段は勝てないような相手でも勝ち抜きトーナメントでは有名プレイヤーに勝ったりするので仲間内では『大会荒らし』などと揶揄されたものです。ただ、飽きたりネットゲームを始めたり別のことに興味を持ったりしてゲームセンター通いは辞めてしまいました。


 ある時知ったのですが、その当時に通っていたゲームセンターのプレイヤーの一人がプロゲーマーになっていたんです。確かにその人は当時からセンスが凄く、どんなゲームをやっても上手かったです。才能ってあるんですよね。ですが彼は練習の鬼でした。研究して独自のコンボを作り出したりどんな時でも複雑なコマンドをフレーム単位でミスせず繰り出すように練習する姿を見たことがあります。休日など、昼頃に行けば99連勝をしていることも珍しくありませんでした。勝利数が99でカンストするゲームだったのですが対戦の合間に本人に聞いてみると、


「120から先は数えてないなぁ」


 と言うような、とんでもないプレイヤーでした。100連勝もすれば飽きますよ、普通。私が彼ほど強ければ恐らく飽きて辞めてしまっていたでしょうが、彼はどこまでも強さを求めてゲームを続けた結果、プロになったのです。才能だけでは輝けません。『続けること』こそが彼の一番の才能なんだと私は思います。そんな彼も最初は上手いプレイヤーのプレイを見て、それを真似をして上手くなったと語っていました。自分の色を出すのはそのゲームを理解して上手くなってからでも良いとも。これは仕事でも何でもそうだなぁ、と思います。


 彼以外にも知人には1つのゲームをやり続けてYouTubeで配信し新規ファンを取り込んでゲームの寿命を伸ばすことやプレイ人口を増やすことに貢献している人もいます。好きなことを続けるということは素晴らしいことなんだと思います。彼も研鑽を怠らないプレイヤーでした。


 それと共に何事も突き詰めることなく何もかもが中途半端な自分と比較すると情けなく感じますが、続けることや積み上げることは書くこと以外でも輝かしいものだという例として紹介させて頂きました。


 やるからには何かを残さないといけないという義務的な話ではなく、『続けること』の大事さを伝えたいと思ったという話でした。逆に言うと『やらないと何も残らない』ということです。最初は評価をされなくても続けて残したものが見出されると評価されるのは創作の良い点です。今のところ創作では何も残せていない私ですが、今後は多少何かを残せれば良いなとは思う次第です。


 とりとめのない読む側の意見的なものはこの程度で締めさせて頂きたいと思います。ここまでお読み頂き、ありがとうございました。

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