ある交渉

Grisly

ある交渉

S国は、酷い有様だった。

度重なる飢饉、疫病、戦争。

悲惨極まる暮らし。


それでも、俺達は必死で働いた。

国の線路を広げる仕事。

毎日仲間が死んでいったが、

凍える空気の中、夜も休まずに。


ある日、K国の人間が来て、

現場監督と何やら話をしていた。


その後、

俺達は、K国で働かされることになった。

最初のうちは怯えていたものの、

見たこともないような豪華な食事。

ふかふかのベット、暖かい風呂、

K国の人間は、

これでもかともてなしてくれた。


そのうち俺達は、

K国の人間が

助けに来てくれたことを理解した。

なんて素晴らしい人達だろう。



さて、K国の人間、困ってしまう。

「やけに感謝されてるぞ、

 よっぽどS国の状況が悪かったとみえる。

 我が国の奴隷として連れてきたのに…」






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ある交渉 Grisly @grisly

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